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3月
31日
(sun)
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GOMES THE HITMANを僕に啓蒙するためにみずこしが遊びに来て、僕に片っ端からCDを聴かせ、そして雷が鳴る中を選挙に投票するために帰っていきました。特典欲しさに2枚最新作「mono」(→amazon.co.jp)を買ったという彼女から、そのうち1枚を購入。自分用に残したCDはメンバーの山田稔明のサイン入りの方だそうで、しかもそれは保存用にするからと、普段聴くためのCD-Rを僕の家で焼いていくなど、なかなか筋金入りのファンぶりです。
僕はGOMES THE HITMANの作品では99年作「weekend」辺りは聴いていたのですが、その当時はやはり業の浅いフリッパーズ・ギターという印象を受けていました。ところがこの「mono」になると、当時と同じバンドかと一瞬戸惑うほど落ち着いた楽曲が並んでいます。情感は深いけれど情念は感じさせないタイプの叙情性。山田稔明のボーカルはお世辞にも達者とは言えないけれど、こういう万年青春症的なナイーヴな音楽は、正直なところ好きなんですよね。ていうか、かなり切ない。時にほどよく隙間が空いていて、時に密度と広がりを感じさせるサウンドもメロディーの魅力を引き出しています。
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3月
30日
(sat)
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クレイジーケンバンドの横山剣さんを迎えてお送りするTGV Vol.10 "ワールド・ワイド・ハンサム・ホリディ"、もう次の土曜日です。僕は17:00〜18:00に回しますので、お暇な方は是非。
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昨夜の爆音娘。の余韻を引きずりながら、今日になってやっとDVD「Hello!Project 2002〜今年もすごいぞ!〜」(→amazon.co.jp)を通して見ました。童謡を歌っていることなど、細かい部分にはもはや野暮な突っ込みはしません。メロン記念日の「This is 運命」も見ましたが、普通はこれでモッシュするという発想自体が浮かばないと思います。松浦亜弥にはアイドルとしての強烈なオーラを感じました。あと、カントリー娘。の新メンバーの里田まいは微妙に鳥肌実に似てませんか。誰も同意してくれないことは予想がつきますが。
モーニング娘。のニューアルバム「いきまっしょい!」(→amazon.co.jp)も聴きました。普通のアイドルポップスである「いいことある記念の瞬間」や「好きな先輩」、唐突なユーロビートでヘーホーとコーラスをする「いきまっしょい!」など、シングルのように趣向を凝らしすぎず、この程度にチープな楽曲の方が僕は素直に楽しめました。
個人的には、「男友達」の甘酸っぱさが心の非常にダメな部分を大直撃。つんくのアイドルヲタとしての基礎体力の高さを痛感させられる作品です。
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3月
29日
(fri)
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今週ずっと悪かった体調が今日になって回復し、しかも仕事が終わったのが整理券の配布にちょうど間に合う時間だったので、爆音娘。が開催される新宿パセラに向かいました。そこの入口でミヤビさんと会い、藤村さんやピロスエさんと合流して時間を潰してから会場へ。22時にスタートしたそのイベントには約300人のモーヲタが詰めかけ、スタッフにも客にもやけに友達が多い状況です。ピロスエさんに紹介された富山
さんは、ホームページから受けた繊細そうなイメージとは違ってハイテンションだったのですが、あれは爆音娘。の場がもたらすマジックだったのでしょうか。
そう、爆音娘。という空間はそれほどまでにすさまじい昂揚感が渦巻いていました。モーニング娘。はいないというのに、DJの流す音楽に合わせ、ライヴ会場と同じような、いやそれ以上に激しいコールやダンスを人々はします。モーヲタならひとりで来て一晩中ここにいても淋しくないでしょう。
そして衝撃的だったのは、メロン記念日の「This is 運命」が流れた時に起きた、あとさきのことを考えない勢いの壮絶なモッシュでした。メロン記念日でモッシュ。会場の前方に一斉に駆け寄ってもみくちゃになるモーヲタたちが吐き出す熱気は、今まで少なからぬライヴやクラブイベントに行ってきたはずの僕でも見たことがない種類のもの。何かとても常識からかけ離れた、しかし爽快なものを見ている気分で大笑いしました。狂っていると思うけど、でもあの場で僕はすべてのモーヲタを愛していたよ。
ずっと楽しかったけれど、僕の中で特に盛り上がったのは辻希美の「NON STOP」のリミックスバージョンが流れた時。続く「ハッピーサマーウェディング」での会場の盛り上がりに、この後もこんな状態が何度も訪れるのだろうなぁと後ろ髪を引かれつつ、終電に乗ることにしました。短い時間だったけれど、爆音娘。を体験できて良かったです。他では得難い体験でした。
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3月
28日
(thu)
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この日記を読んでいる僕と同世代の男性は、15年ぐらい前には「夕やけニャンニャン」の放映時間に合わせて学校から帰宅していたタイプの人なんじゃないかと思います。勝手に決めつけてますが。で、当時の僕はおニャン子だけじゃなくてとんねるずも大好きで、「オールナイトニッポン」もタイマー録音していたのですよ。そんな中坊時代を思い出したのは、今夜の「うたばん」に出演していたYOU THE ROCK★の元とんねるずフリークぶりを共感しつつ見ていたせい。「成増」とか「仏滅そだち」とか何度も聴いたよなぁ、「天使の恥骨」とか今聴いてもいい曲なんだ。
で、そのYOU THE ROCK★は「ヒップホップ・ロイアル」を歌っていたのですが、ちょっと引っ掛かったのは、CD通りのライムの順番ではなくグラフィティに関する部分を丸ごと飛ばしていたことでした。グラフィティってのは、街中に描かれているスプレーによる落書きのこと。それが番組側の要請だったのか、YOU THE ROCK★側の自粛だったのかは知る術もありませんが、違和感だけは残りました。
「ヒップホップ・ロイアル」(→amazon.co.jp)は移籍後の第一弾シングルにして、YOU THE ROCK★自身によるプロデュース。サウンドはよりタイトで芯が太くなり、ラップもさらに逞しく言葉を叩き込んできます。しかし僕がこの曲を素直に受け入れられなかったのは、グラフィティを肯定しているからでした。グラフィティが公共スペースだけではなく個人の家にまで描かれている現状を目にしている僕には、無粋と笑われても到底グラフィティなんぞ肯定できません。
YOU THE ROCK★の99年作「THE PROFESSIONAL ENTERTAINER」は大好きなアルバムだったし、そこに収められた「ROCKY ROAD(友情BBS)」は本当に感動的な楽曲でした。そして、その意味で僕は表現者としての彼を信頼してきたわけです。しかし、その手法の卑怯さを無視してグラフィティを「アート」や「自由」と呼ぶYOU THE ROCK★に僕は同意できないし、そうした「自分探し系グラフィティ」を何の疑問も持たずに称賛する批評性の無さに僕は共感することなどできません。
僕が中坊の頃にとんねるずを聴いていたように、今の中坊がYOU THE ROCK★を聴いてグラフィティに目覚めたりしたら、たまったもんじゃないよなぁ。頼むよYOU THE ROCK★、身勝手だとしても俺は正直なところ悲しい。
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3月
27日
(wed)
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TEENAGE SYMPHONYから発売された「Smells Like Teenage Symphony」(→amazon.co.jp)は、聴き応えのあるオムニバス盤です。ゲントウキやセロファンなど、穏健に見えてクセの強いアーティストが集められていて、「喫茶ロック now」(→amazon.co.jp)と共通する雰囲気もあります。
オープニングを飾るのは、ソングライティングとボーカルを担当する西山達郎が先日亡くなった初恋の嵐。初めて彼らの曲を聴きましたが、松田マヨも参加した「涙の旅路」は情感の深い非常にいい曲で、予定されていたメジャーデビュー盤が発売中止になったのは惜しいです。カーネーションの久しぶりの新曲「長い休日」は、相変わらずのカーネーションにして相変わらずの直枝政広。頼もしい。タイライクヤと岩見十夢の歌声は、いわゆる美声ではないけれど耳に残ります。
sunzriverのとぼけた味わいや、コモンビルのボーカルやメロディーのメリハリの利き具合も心地いいです。フリーボと組んでいる無頼庵が聴かせるのは静かで澄んだ歌。そして最後は、GOMES THE HITMAN+advantage Lucy+PLECTRUM+セロファンの融合バンドであるG.A.P.C.の過剰なほど明快なポップスとロックンロールで幕を閉じるのでした。
うん、TEENAGE SYMPHONYってのはいいレーベル名です。THE BEACH BOYSの「PET SOUNDS」のフォントをジャケットで摸しているのも、この内容なら許せます。
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3月
25日
(mon)
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三浦靖冬「おつきさまのかえりみち」(→amazon.co.jp)は、セピアがかった表紙の色合いを見てジャケ買いした1冊。古びた街並み、荒れ果てた家屋、荒涼とした世界の中で描かれるのは、体液の中でイノセンスと肉体が軋み合う少年少女たち。舞台となる世界はレトロな雰囲気で、もう少しでファンタジーに足を踏み入れそうですが、登場する人間たちの生々しさゆえに現世にとどまってしまったかのようです。優しさと残酷さが入り混じる物語たちの中で特に印象に残ったのは、外界と隔離された穏やかな世界の終わりを描く「とおくしづかなうみのいろ」の救いのないエンディング。三浦靖冬はいい絵、いい線を描く作家でした。
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3月
24日
(sun)
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イワキリさんの家の近くで毎年恒例の花見。もっとも僕が着いた頃には夜の7時で、皆はイワキリさんの家に移動済み。僕は花見の会場だった、川を埋め立てて造られたと思われる細長い公園の脇を通り、冷たい風に吹かれて舞い散る桜の花びらに歓声をあげる人たちなど眺めながらイワキリさんの家に向かいました。
ドアを開けると、一瞬やばい葉っぱでも吸っているのかと思うほど煙が流れ出してきて、皆で何かを焼いていましたが煙が目にしみてよく見えません。ちょうどマラソン大会に出場するため宮崎から上京していたイワキリさんのお父さんもいて、その親子関係を目の当たりにしながら一切気にせずに「ASAYAN」や「MUSIX」を見てモーニング娘。について語りつづけるというやや特殊な空間でした。
「ASAYAN」は最終回ながらだるくて僕は気を失いましたが、途中で帰ったり来たりしたCsbさんと渋谷さん以外は、イワキリ父子もテルヤスさんもタン太さんも皆寝ていて、ただひとり梅本さんが黙々とギターを弾いてだらけた雰囲気を際立てていました。僕は「なぜ今の辻に魅力を感じないのか」という説明を3回ぐらいした記憶が。疲れていたのだと思います。
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そういえば、DVD「Hello!Project 2002〜今年もすごいぞ!〜」(→amazon.co.jp)を買っておきながらいまだに観ていないことも思い出しました。ていうか、買ったDVDの大半は封だけ開けて観てないんですよね。
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あと、昼に食事をしながらNHKの民謡番組「どんとこい民謡」を見ていたら、若い女の子がギター+尺八2本という編成をバックに歌っていて、歌の節回しは抑え気味だけど、緊張感のあるクールなアレンジがなかなかよくできていて関心しました。
で、それを歌っていたのは元T&C;ボンバーの小湊美和だったんですよね。彼女が民謡一家育ちというのも今日になって初めて知ったけど、アレンジもこなすというのにも驚きました。彼女のアレンジした日本民謡をまとめて聴きたいなぁ。
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3月
23日
(sat)
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渋谷Za Hallで「至上の愛 Jazz Issue vol.2 : Jazz Logic PATAPHYSIQUE」。大谷能生を聞き手にした菊地成孔によるジャズ理論史講義で、必要に応じて坪口昌恭がキーボードで実演する形式の講義でした。
菊地成孔は、冒頭で会場に「この中にジャズが好きな人どのぐらいいますか? ジャズが嫌いな人は? ベビーカステラが好きな人は?」と質問し、ベビーカステラが好きだと挙手した人に向かってベビーカステラを投げていました。正味のところ頭がおかしいと思います。
しかし講義の方は、菊地成孔の相変わらずの頭脳の明晰さを思い知らせるものでした。アメリカのポピュラー音楽の誕生、スウィング・ジャズやビバップについて、勢いの良い脱線と溢れる無駄話とともにわかりやすく解説し、「時間がなくて面白いところが話せないねぇ」と繰り返して受講者を複雑な気分にさせながら進行します。そしてジャズの音楽理論における「擬似科学」として挙げられていたのがトリスターノ理論、リディアンクロマチック理論、ハーモロディクス理論、Mベース理論。駆け足ながらそれぞれの異端ぶりを面白おかしく紹介し、しかし大事なのはそれが正しいか間違いかではなく結果としていい作品を生み出せるかどうかだと締めくくっていました。
ジャズ理論に疎い僕はモードについてもっと解説を聞きたいところでしたが、とにかく菊地成孔の話は面白いので、彼のトークショーだったと考えても満足です。あと、配布された菊地成孔作成のキーワード集も非常に示唆に富むものでした。美学校の授業も受けようかと、ちょっと考えたぐらいです。
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それから水道橋の民家バーで、yosukezanさん主催による80年代洋楽ビデオクリップを見る集まり。いろんなコアな人に会えて楽しかったし、共通の知り合いがいる人に何人も出会って、世界の狭さと密度に驚いたりもしたのでした。
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3月
22日
(fri)
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雪男さんとくぼうちさんが企画を進行させている単行本のために、由一と対談。れっきとした商業ルートで流通する、テキスト系の歴史と現在についての単行本用の対談でした。そこで僕と由一に与えられたお題は…「コジャレ系」。コジャレとはどんな概念だったのか、誰が言い出したのか、そもそもそんなシーンは実在したのか。雪男さんとくぼうちさんに、いまだに更新を続けているコジャレ系の生き残りであると目された僕と由一がその辺について語っています。4月の後半以降に出版される予定だそうです。
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3月
21日
(thu)
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急に春らしくなっていつの間にか桜まで咲いているので、季節の変化の激しさになんか不安になるほどです。早いなぁ。そんなことを考えていたら、くるりの2000年のシングル「春風」(→amazon.co.jp)を聴きたくなって引っ張り出してきました。
この曲はアルバム未収録ですが、くるりが少しでも好きな人なら聴き逃しちゃいけません。「揺るがない幸せが、ただ欲しいのです」という身も蓋もないぐらい率直な心情吐露で始まり、最後まで叙情が溢れ出し続けるその歌はある種メルヘンチックなほどですが、しかし笑い飛ばせないほど胸に染み込んできます。「図鑑」でJim O'rourkeと出会った後の彼らのサウンドプロダクションは、各楽器の音色とサウンド全体の奥行きを意識した繊細なもので、それが歌の世界の深みを増し涙腺もまた刺激するわけです。
去年の春、「アワーズライト」で連載している「BED ROOM DISC JOCKY」のVol.10でも書きましたが、音楽というのは季節の記憶と分ち難く結びつくことがあって、「春風」もまた2000年の春の記憶と切り離せません。たしかあの年は3月の末に急に暖かくなったんだよなぁ。僕は薬漬けの朦朧とした意識で桜を見ていたんだよなぁ。「春風」を聴いていると、自分を取り残していくかのように暖かくなったあの春の空気を思い出します。
ちなみに2001年の春は、つじあやのの「春蜜柑」(→amazon.co.jp)がCDトレイに幾度となく乗っていました。21世紀に不意に現れたティンパン・アレイ的感覚を継承するのこの作品も、優しく切ない曲の詰まった名盤です。
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ニュース系サイトに押し寄せた鈴木宗男という名のビッグ・ウェイヴ、あるいは鈴木宗男ポータルサイトという感じなのがMUNEO HOUSE INFORMATIONS。ムネオハウス偽史とも呼ぶべき「history」のコーナーが可笑しくて好きです。佐久間英夫(正英ではない)まで引っ張り出すのも芸が細かいなぁ。
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3月
20日
(wed)
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僕が音楽コラム「BED ROOM DISC JOCKY」を連載している「アワーズライト」5月号と、アルバムレビューを執筆している「ミュージックマガジン」4月号がともに本屋の店頭に並び始めましたので、よろしければご一読を。
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TGVのホームページは、やっと正式版がアップされましたのでこちらもよろしくお願いします。そのゲストのクレイジーケンバンドの横山剣さんのインタビューが、amazon.co.jpの音楽コーナーがリニューアルして生まれたTokyo Pop Shopに掲載されています。
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DJイベントといえば、ネット上のクラブシーン(どこだよ)を席巻しているムネオハウスのクラブイベント・MUNEO HOUSE Partyが4月5日に開催されるとか。なんとLZDさんもDJを務めるそうですよ。
鈴木宗男議員が北方領土への人道支援事業の一環としてハウスミュージックを国後島を贈った際、自分の息のかかった業者に担当させて政治献金を受け取っていた疑惑を発端に、2ちゃんねるを中心として集会所兼宿泊施設「友好の家」が次々と建造されているムーブメントがこのイベントの背景にあることは皆さんご存知の通り。当日はムネオがドロップしたヒットチューンの数々がプレイされることが期待されますね。
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3月
19日
(tue)
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SEGUN BUCKNOR「POOR MAN NO GET BROTHER」(→amazon.co.jp)、矢野顕子「reverb」(→amazon.co.jp)、くるり「THE WORLD IS MINE」(→amazon.co.jp)購入。矢野顕子とくるりは、もらっていたサンプルがカセットだったのでCDを買いました。くるりのアルバムでは、サンプルと一緒に送られてきた資料には作詩作曲者名が書いてあったのですが、発売されたCDのライナーには見当たりません。意図的なものなんでしょうね。あと、野田努の解説があったりサンクスに村上隆の名があったりと、商品としてパッケージ化されると一気にいろんな記号が付いていて、現在のくるりの立ち位置をよく物語っています。
SEGUN BUCKNORはナイジェリアのミュージシャンで、STRUT RECORDSから発売されたこのアルバムの副題は「ASSEMBLY & REVOLUTION 1969-1975」。同じナイジェリアのFELA KUTIほど泥臭くはなく、ソウル・ファンク・ジャズが洒落たセンスでシェイクされたアフロミュージックです。クールなプレイとホットなグルーヴを併せ持っていて、非常に聴き応えのある音源集でした。
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3月
18日
(mon)
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TECHIST-TEXT-.txtで知った「柳美里さんが完走=ソウルマラソン」という記事は、「ていうか柳美里ってマラソンなんかするの!?」という衝撃をカーンと与えてくれました。でもこのニュース、僕は時事通信社のこの記事でしか目にしなかったので、だんだん幻でも見たかのような気分に…。と思ったら、朝日にもありました。「次の連載小説の主人公がマラソン選手。その内面を知りたくて、昨年末からコーチをつけて練習してきた」とのことですが、小説のためにコーチまで付けて42.195キロを走ってしまう柳美里本人にやはり一番興味を引かれてしまいます。
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「死刑廃止法案の骨子について議員連盟が検討会」。「仮出獄を認めない『重無期刑』(仮称)を設ける」ことを検討しているそうで、この点は評価したいです。もっとも超党派による死刑廃止議員連盟というのが、どんな論議をしていて内部にどんな温度差を抱えているのか見えづらいですが。
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3月
17日
(sun)
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そうですか、鳥肌実は演説会で全裸になりましたか。汚れなき心の白いキャンバスに塗られた鳥肌実の性器の色を、新たなる旅立ちを迎える季節の1ページに無理矢理に押された焼き印だと思って、めげずに生きてくださいね。
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古屋兎丸「自殺サークル」は、園子温が監督した同名の映画を、古屋兎丸が独自の物語にして描いたというコミック版。一読した後、かつて「ショートカッツ」で女子高生ネタを多用してみせた古屋兎丸が、本気で女子高生に向かい合おうとしたらこれほど表層的な心理描写にとどまってしまうのかと少なからず落胆しました。「現代の少女達が持つ闇(中略)を今、描いておかなければ」という意気込みは空回り気味で、描こうとしたはずの「闇」には踏み込めないまま、ドラマツルギーだけ追いかけて物語が終わってしまう印象です。
わずか1ヶ月で書き下ろされたという事実の前では仕方ないのかもしれませんが、近作「Mrieの奏でる音楽」(→amazon.co.jp:上巻、下巻)や、「闇」を描こうとしたことでは「自殺サークル」と共通する「Garden」(→amazon.co.jp)所収の「エミちゃん」などと比べ、物語の彫りの深さの落差は明らかで残念でした。彼の卓越した画力は、病んだ場面ほどその力量を発揮してはいる点では変わらないのですが。
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3月
16日
(sat)
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自分が語るべきことか逡巡しつつ、結局書くことにします。99年4月に山口県光市で起きた母子殺害事件について、14日に広島高裁で下された控訴審判決についてです。
ご存知の通り、死刑を求めた検察側の控訴は重吉孝一郎裁判長により棄却される結果となりました。争点となった事件当時18歳だった被告の更正する可能性については、「矯正教育による改善更生の可能性がないとは言い難い」という良く言えば慎重、悪くいえば消極的で責任回避的な判断がなされ、「極刑がやむを得ないとまではいえない」というこれまた回りくどい表現で今回の判決が出たところに割り切れない思いが残ります。
強姦目的で押し入った被害者宅で女性を殺害し屍姦、さらに生後11ヶ月の赤ん坊を床に叩きつけて絞殺。この陰惨かつ凄惨な犯行のためにただひとり残されることになった本村洋さんが、マスコミなどで表立って死刑を求めたことに批判的な意見も目にしました。しかし朝日新聞の記事にあるように、被告が友人へ送った手紙に「被害者さんはちょうしづいてる」などという内容があったことを思えば、本村洋さんを感情的と批判することは僕にはできません。自分が同じ立場なら、怒りで全身の血が沸騰するでしょうから。僕が本村洋さんを批判する人々に感じたのは、単なる非寛容性だけではなく、いつ誰が巻き込まれてしまうかわからない凶悪事件への根本的な想像力の欠如と、それによって人権思想という高みから物を語っていることに無自覚である奢りのようなものでした。
僕個人は、死刑制度は廃止されても良いと考えています。しかし、それは外部からは不可解な基準による仮釈放という制度を持つ無期懲役刑に代わり、文字通りの終身刑が導入されることが必須条件です。「世界の趨勢」などという曖昧な根拠とともに死刑制度の非人道性ばかりを指摘して、一方では無期懲役刑が実際には無期懲役ではない場合もあるという事実を平然と無視する人々を、僕は微塵も信用しません。そうした人が死刑存続論者を批判する時、その言説には批判対象と同等かそれ以上にヒステリックな感触があります。自身の思想を絶対のものとして疑わずそれに酔う姿勢は、その思想の左右を問わず同じ悪臭を漂わせるものです。死刑の存廃に限らず、崇高な理念を高々と掲げる人間にほど、僕らは猜疑の目を向けねばなりません。
やや飛躍があることを承知の上で付け加えるならば、国民の心情と極度に乖離した形でしか実現されない法理念は、人々に不満を蓄積させることによりファシズムの台頭を準備することも僕は懸念します。
ともあれ、自分が大切にする人々が殺された場合にこんな判決しか出ないのが現状だというのでは、たまったものではありません。犯罪被害者の会(あすの会)を読みながら、自分が事件に巻き込まれた場合のことを想像し、戦慄にも近い恐怖を覚えました。
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マジックマッシュルームへの法規制について触れた6日の日記については、サイトウさんの3月9日のPrefaceZ、ミヤビさんの3月9日の日記で反応をいただきました。僕のいかにも皮肉っぽい皮肉に反応してくれたお二人は、これはなんの皮肉でもなく真摯な人たちだと思いました。「どんなことでも、中途半端な理解と思いつきで語るのはフェアでもなく美しくもない」というサイトウさんの自戒を僕も肝に銘じつつ、ミヤビさんの「もし反対派の方々がいるなら勝手に頑張ってください」という言葉に同意します。
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3月
15日
(fri)
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カーネーションが4月10日にライヴ盤「505〜Five Oh! Five〜」を発売。1996年7月18日にNHKで収録された音源だそうで、「GIRL FRIEND ARMY」発表後の時期ならではのかなり楽しみな選曲になってます。
そういえば、直枝政広&ブラウンノーズの「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」も収録される岡村靖幸トリビュート「どんなものでも君にかないやしない」も4月17日の発売が楽しみです。栗コーダーカルテットやイルリメが参加しているのが意外でいいなぁ。
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ワツニュに、3月9日の高野文子サイン会の写真が。この写真で彼女の顔を初めて見ましたが、U5さんが「ボクの中に無意識にできていた『高野文子像』に極めて近かったです」と語っているように、たしかに「なるほど彼女が高野文子か」と納得してしまう雰囲気がありますね。
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3月
14日
(thu)
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4月6日(土)にクレイジーケンバンドの横山剣さんを迎えて開催される
TGV Vol.10 "ワールド・ワイド・ハンサム・ホリディ"、ホームページが更新されましたのでよろしくどうぞ。
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青山ブックセンター六本木店で「説教番長 どなりつけハンター」(→amazon.co.jp)の発売を記念した掟ポルシェのサイン会。このサイン会に間に合うようにと、ダッシュで仕事を片付けて電車に乗り込んだわけで、その意気込みたるや「なんで俺はここまでしているのか」と不思議になるほどでした。
六本木店でミヤビさん・かちゃくちゃくんと合流。会場には長い列ができているうえに進みが妙に遅いと思ったら、一人あたりにやけに時間をかけているようです。やがて行列の先に掟ポルシェの姿が見えると、目の周りには雑誌でみる通りの銀メラが。思わず笑いました。
1時間近く並んでやっと僕の番に。掟さんに藤本美貴について聞くと、「いまいちなんだよねぇ」とか言いながらサラサラと彼女の絵を描きだします。掟さんいわく、「俺の中じゃこんなものよ、でも1年後にはめちゃくちゃ好きかも」。絵の下には「最悪」のニ文字も添えられていました。
ミヤビさんやかちゃくちゃくんと一緒に4人で写真も撮ってもらったのですが、「4人ならメロン記念日っぽく」という掟さんの発案によりメロンポーズ(?)で撮影することに。野郎4人、しかも衆人環視という絶好の状態での撮影でした。
それにしてもこの「説教番長 どなりつけハンター」、下品でデタラメだらけのようでいて、実は侮れない本です。彼がモーヲタになる以前の原稿を中心に、ニューウェーヴやらVシネマやら男の生きざまやらについて語ったコラムが収録されていますが、その分析眼の鋭さには近田春夫を連想しました。文体は全然違いますけどね、ええ。
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3月
12日
(tue)
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東銀座の松竹本社で「WXIII PATLABOR MOVIE3」の試写会。脚本を担当したとり・みきさんのご厚意でお招きいただいたのですが、時間がなくて今日の最終試写になってやっと観れたのでした。
試写は、押井守が脚本を担当した同時上映作品「ミニパト」全3話から。2.5頭身ぐらいになった「機動警察パトレイバー」のキャラクターによって、異様に密度の濃いメカ関係の薀蓄や本編とは関係のないハゼ釣りの話が展開されていきます。最近のアニメ事情に疎い僕は、人形劇と3DCGが融合したようなその映像を「これどうやって作ってるんだ?」と思いながら見入っていました。「WXIII PATLABOR MOVIE3」がシリアスな分、「機動警察パトレイバー」本来のメインキャラが好きな人には「ミニパト」が受けそうです。関係ないけど、主題歌を歌っている兵藤まこの名前を見て、一瞬兵藤ゆきなのかと。
制作開始から公開まで長い時間がかかった「WXIII PATLABOR MOVIE3」は、遠藤卓司監督・高山文彦総監督という事実上の共同監督体制で完成されたそうです。ちょっと都合のいい設定があったり、途中でだいたいの展開が読めてしまったりという部分もありますが、監督たちはあえてそうした構成を選択した上で見せ方に力を注いでいる印象でした(そもそも観客の多くは原作である「廃棄物13号」を読んでいるでしょうし)。
脚本は、地味なキャラクターの刑事ふたりを主役に据えながらも物語を引っ張っぱり、人間ドラマでの描写のはしばしに工夫がうかがえます。その辺に「石神伝説」に通じるものを感じるわけで、とりあえずとり・みきファンは「WXIII PATLABOR MOVIE3」も観ておくべきでしょう。
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3月
11日
(mon)
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3月20日に発売されるナンバーガールの4曲入りマキシシングル「NUM-AMI-DABUTZ」(→amazon.co.jp)は、相変わらず奇妙なタイトルだねと舐めてかかるとボコ殴りを食らった気分になるほど強力です。タイトル曲では、これまで以上に鋭角的な音のギターと、硬さと弾力を併せ持つベースが絡み合い、さらにドラムが入って一斉にリズムを刻み始めるという展開のイントロの時点で早くもやられてしまいました。そしてギターは、なぜそこまでと思うほど吠えまくり唸りまくり。向井秀徳のボーカルは歌ともラップともつかぬ譜割りで矢継ぎ早に言葉を繰り出し、それに呼応するかのように演奏のリズムも変化して、言葉とリズムの混沌が生まれ、かと思えば次の瞬間には再び一丸に。最初に聴いた時には何が起きているのか把握しきれないほどでした。
他の「FIGHT FIGHT」「MACHIGAI」「MUKAI NIGHT」もどれもが異常なテンション。そもそも「MUKAI NIGHT」ってどういうタイトルなんだよ。しかも「俺は 俺は夜」と言われてしまうと、もう何も言い返せません。向井秀徳の歌詞は、最高級の賛辞を使えばどの曲でも狂っており、危機意識と切迫感と無情感が荒っぽく混ぜ合わされ、粒子が粗いまま妄想の上にぶちまけられたような「NUM-AMI-DABUTZ」の世界にクラクラしました。
間違いなくナンバーガールなんだけど、強烈だったはずの「ZAZENBEATS KEMONOSTYLE」や「鉄風 鋭くなって」といった最近の楽曲を軽く凌駕してしまうほどの熱量が記録されていて、同じバンドが短期間でここまで深化するものなのかと唖然としました。
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3月
10日
(sun)
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「Quick Japan」の取材で朔ユキ蔵さんにインタビュー。やさぐれた人だったらどうしようかとちょっとドキドキしながらワニマガジン(自社ビルだった)へ向かったのですが、朔さんは少しはにかみながらもいろいろ話してくれる感じのいい人でした。そしてコアなロック好き。「少女、ギターを弾く」(→amazon.co.jp)のような作品を生み出すのにも納得しましたが、それとは全然違うタイプの作品を「スピリッツ」での新連載に向けて描き始めているそうで、停滞しない人だということもよくわかったのでした。
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3月
9日
(sat)
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メンズリブ東京の代表・豊田正義による「DV - 殴らずにはいられない男たち」(→amazon.co.jp)
は、ドメスティック・バイオレンスを行なう男性を取材したルポルタージュ。夫と妻の両方に取材し、丁寧かつ親身に取材対象の話を聞いています。
妻への暴力衝動をコントロールできず、断続的に暴力を振るってしまう男性たちは、その直後には妻に本気で謝るものの結局はまた暴行を繰り返してしまうパターンが多く、また妻も「自分が悪い」と考えてしまい、距離を置くことができないまま悪循環が続いてしまうことが多いようです。特に第3章の「どう考えてもあんたたち相性がよくないよ」と言いたくなってしまう夫婦の間に渦巻く愛憎は読んでいるだけでげんなりするものがありますが、彼らが特別な例というわけでもなさそうなところに問題の根深さも感じます。
ここに登場する男性たちは、他人からの評価に依存してプライドや見栄にこだわり、男性性に縛られている点で共通しています(そして外面は良かったりする)。本書ではそうした心理の原因の多くを、夫の発言を元に子供の頃の親子関係に求めていますが、それはアダルト・チルドレンと呼ばれる(あるいは自称する)人たちが持ち出しがちな理由でもあるので、さらなる検証も欲しかったところです。
個人的に興味深かったのは、カウンセリングではなく洗礼によってドメスティック・バイオレンスを克服して妻とやり直した例でした。それが宗教ならではの力によるものなのか、単に告白と懺悔によって精神的な整理がついたためなのか、本書からだけでは判断できないのですが。
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3月
8日
(fri)
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4月6日に開催されるTGV Vol.10「ワールド・ワイド・ハンサム・ホリディ」には、クレイジーケンバンドの横山剣さんをゲストDJとしてお招きするわけですが、クレイジーケンバンド公式ページのスケジュールにもTGVの情報が掲載されました。剣さんと自分の名前が並んでるのって、なんか不思議だし畏れ多いし、とりあえず気を引き締めることにします。
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マンガを一冊借りるためにしばたさんの事務所を訪問。あのマンガの読みっぷりからは想像できないほど整理整頓された室内に、思わず自分の部屋を思い出してその落差に思いを馳せました。
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3月
7日
(thu)
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UMMO Recordsの土佐有明さんのご厚意で、ECDとHELLICOID 0222MBのレコ発ライヴへ。新宿ロフトには初めて行きましたが、風俗店が密集する歌舞伎町のただれた一角にあって、なかなか立地からしてロックですな。
遅れて会場に入ると、すでにHELLICOID 0222MBがライヴ中。ベースのぶっとい音が非常にいいグルーヴを鳴らしていて、CDから予想していた以上の演奏力に即座にやられました。ただ、ステージ上だとクールというかちょっと大人しい印象も。ちょっと煮え切らないのだけれど、そういう微妙なバランスが個性でもあると思うので、今後いい感じに煮込まれていくのを期待したいです。
ECDのライヴは、実は僕にとって初めて体験するラップのライヴでもありましたが、彼で良かったと思うほど痛快なステージでした。適度な歳の取り方と肉の付き方、そして坊主頭のせいで、ラップするECDの姿はまるで僧兵のようです。しかも生でもちゃんと言葉が聞き取れるほどの力量と、シャウトに近いラップの熱さに驚きました。彼とステージに立ったターンテーブルのイリシット・ツボイは、膝の下をくぐらせた手でDJをしたり、ターンしてDJをしたりと、見せ場を作りまくり。周りで目の血走った若い衆が叫んでいたけど、そりゃああの強烈な肉体感を目の前にしたら興奮もするよなぁ。
そして、ECDのラップとキーボードと、イリシット・ツボイのターンテーブルでサウンドが作られていく様子は非常にスリリングでした。ふたりでお互いの目を見ながらリズムを生み出す姿はさながらジャズのようで、ECDがサックスを持って高音を吹き続ければなおその印象は強まります。アンコールでは、ECDはマイクは持っていたもののキーボードだけを弾き、インストで終わったのも彼独自の路線を見せつけていました。
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なんと「anan」にタブブラウザの記事。ホームページには、各ブラウザへのリンクも用意されています。僕もちょっと前にタブブラウザを片っ端から試して、現在はDonut Rを愛用中です。
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3月
6日
(wed)
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MAMALAID RAG「春雨道中」、phat「−色−[siki]」、REI HARAKAMI「RED CURB」、RICHARD BONA「REVERENCE」購入。
「喫茶ロック NOW」で聴いて以来、発売を楽しみにしていたMAMALAID RAGの4曲入りミニアルバム「春雨道中」(→amazon.co.jp)は、やはりその楽曲や演奏が70年代の香りを漂わせています。でも、僕が彼らの音楽に70年代を感じる決定的な理由は、ボーカルの田中拡邦の声質に若き日の大瀧詠一を連想するからなんでしょう。「東京」や「MUGEN」辺りのサニーデイ・サービスを好きだった人なら気に入りそうなバンドです。
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マジックマッシュルーム法規制へ。所持も禁止になるらしいと最近ずっと噂になっていましたが、遂にという感じですね。僕は別に試したこともないのでどうでもいいのですが、法規制をするならその有害性なり事故例なりをちゃんとわかりやすく提示してほしいところです。(ところでマリファナは実は健康にいいという説の真偽はどうなんだろう?)
そして厚生労働省では、「いわゆるマジックマッシュルームを麻薬原料植物として指定する件に関する意見の募集について」と題した意見募集を開始しました。個人的には、ガス抜きの穴を全部埋めてしまうと、人々がよりハードな麻薬に走ってしまう可能性がある点は気がかりです。もっとも、ガス抜きの穴を求める心理っていうのは、「他人が手を出さないようなことを体験してしまえる自分」というような自意識だったりもするので、それもまたひどく退屈な話ではあります。
そう考えると、みんな逮捕された方が非日常的な体験ができて新鮮だろうから、僕は法規制に賛成ですね。マッシュをキメてる退屈な人たちも、その方がいいんじゃないの?
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3月
5日
(tue)
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福田和也×大塚英志「最後の対話」、掟ポルシェ「説教番長 どなりつけハンター」購入。掟ポルシェの本はサイン会のために青山ブックセンターで買ったんですが、あれ、会場は本店だと思っていたら六本木店だ。
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大塚英志については「戦後民主主義のリハビリテーション」(→amazon.co.jp)
を今年になってから読み始めたものの、500ページを越えるその厚さのために読み終えるまでにえらく時間がかかってしまいました。まとまった読書の時間をとれない自分の生活を見直す必要を感じてしまったほど。
90年代半ば以降に「Voice」などの論壇誌で発表された文章が収録されているこの本で大塚英志が語っているのは、極めて広義でのサブカルチャー、教科書問題、オウム、インターネット、そして宮崎勤など。「左」の言葉の力が弱まったからといって「右」の正しさが証明されたわけでもないと指摘する独自のバランス感覚に偏屈さがブレンドされた、思考をクールダウンさせるのための材料としての評論が展開されています。そのクールさがちょっとした綻びを見せるのが、宮崎勤に関する文章だったことは興味深かったです。
インターネット関連の批評では、インターネット上で表現することの意味も考え直させられたので、その影響はこの日記に現れるかもしれないし、現れないかもしれません。
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3月
4日
(mon)
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「ワールド・ワイド・ハンサム・ホリディ」、それは4月6日(土)に開催される記念すべき10回目のTGVのイベント名です。そしてゲストには、横浜寿町が誇るハンサム・クレイジーケンバンドの横山剣さんをお迎えします。会場はいつものSALON by marbletron、ワンドリンク付き2000円で17:00から23:00まで皆さんをお待ちしています。ホームページももうすぐ更新するので、今しばらくお待ちください。
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朝っぱらから携帯が壊れて、メールを打っている途中でパソコンのように画面が固まってしまいました。携帯が壊れてしまうと、こういう時に限って誰かが連絡してくるのではと不安になる程度に僕も現代的な病に冒されているので、昼休みはドコモショップへ。結局マルチキーが壊れていたそうで、その場で機体を交換してもらえました。電話帳もメールアドレスもブックマークもコピーできたので、ちょっと設定をいじれば元通りの状態に。
ただ、2000年の9月辺りに購入して以来、これでD209iはもう4代目なんですよね。壊れる度に当時ドコモでバイトしていたりゃんに安く売ってもらったり、ドコモで無料で交換してもらったりしているんですが、どうにもペースが異常です。自分が悪い電波でも発しているかのように。
とりあえず直ったもんだから、ドコモに行くまではF211iに買い替える気だったのもすっかり忘れました。新しい携帯電話が、iアプリとかの機能を増やしてどんどん大きくなっていく傾向を僕はあまり歓迎できないので、買い替えるにしても意外と選択の幅は広くないみたいです。
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CDJournal.comの記事によれば、カーネーションのライヴアルバムが4月に発売されるとか。彼らが参加するオムニバス盤「Smells Like Teenage Symphony」は3月27日発売です。あまり宣伝しませんが、この辺の発売スケジュールはピクニック・カレンダーに書いているんで、趣味の合う人は活用してみてください。
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3月
3日
(sun)
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カワせんぱいの家で「輝け! 人生レコード大賞」の打ち上げで鍋大会。前回のイベントの成功を受けて、次回はDJでこんな曲を流してフロアを…というような話は気持ちいいほど一切なく、30歳前後の大人が集まった場ならではの熟した下品さに満ちたトークの連続でした。
特に素股Qさんは偉大だと思いました、先日敢行されたという半裸鍋とか。彼女のバイオグラフィーを詳細に聞いたい。たぐさんの中学生時代のダウナー&ワイルドな話も面白かったです。モーニング娘。のDVDを何枚も持参してきたjunneさんは、「毎日見るから」とちゃんと持ち帰ってから菊地成孔さんのサックス教室に向かいました。人が少なくなってから、カワせんぱいや香さんと歳相応に落ち着いたトークをした気もするのですが、その頃にはよしきさんがボウルに頭を突っ込んで酔いつぶれていた気もします。
皆さん次の鍋、じゃない、イベントでもよろしくお願いします。
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3月
2日
(sat)
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Y-CO「CREW」を聴く前にちょっとだけホームページ上で試聴した時には、「中途半端に民族音楽的でニューエイジっぽい音楽だったら嫌だなぁ」と思っていたのですが、実際にCDを聴いたら杞憂に過ぎませんでした。時にかなりハードでもあるテクノがトラックの主軸で、そこに乗るY-COのボーカルの表情もかなり多彩。特に「anemone」での伸びやかなボーカルが印象的で、「wave」でのコブシといい、かなりの力量を感じさせます。ちょっと前なら和製R&B;に分類されてしまいそうなタイプのボーカリストですが、ボーカルの表現力の幅の広さと、テクノ・トライバルから音響的なものまで意識したサウンドが「CREW」を個性的なアルバムにしています。以前OTOとバンドを組んでいたというのにも納得しました。
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コブシといえば元ちとせの「ワダツミの木」(→amazon.co.jp)にはやられました。上田現によるこの楽曲は、特に彼女が奄美出身であることを押し出してはいないのですが、それがなおさら元ちとせの歌から色濃く滲み出す音楽的アイデンティティーを浮き上がらせています。
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コブシといえばもうひとつ、紅州音頭の桜川唯丸の91年作「ウランバン」を急に聴きたくなって、掘り起こして聴いていました。今聴いてもすごいなぁ、というか今聴くとなおさらすごい。ギターのアフリカ色が強く、10分以上に及ぶ強烈なグルーヴ音頭「さのせ」から始まり、インドネシアのクロンチョンを取り入れた「黒い雨」など、サウンドプロデュースの佐原一哉の強引なほどのアイデアの多彩さにクラクラきます。メドレーでは「聖者の行進」が挿入されたり、ネーネーズが「ブンガワン・ソロ」を歌ったりまでしてますしね。もちろんそうした面白さも桜川唯丸の喉があってのもので、「別れの小径」のようなボーカル曲は、演歌とは違ったコブシ回しが沁みて泣けます。
桜川唯丸会ホームページによると、このアルバムを発表した桜川唯丸は「初代桜川唯丸」として94年に引退しているとか。ちなみには二代目桜川唯丸は、「『江州音頭のニューウェーブ』として、ハードロックのリズムで、ライブ活動を行っています」とのことで、うーん、それは「新しさ」を求めて進むべき方向として正しいのかなぁ?
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3月
1日
(fri)
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渋谷NHKホールでキリンジのライヴ。チケットを取ってくれた卯月さんとろくべえさんに会場で合流します。おふたりは今回のツアーを6ヶ所で見たそうで、キリンジのライヴを初めて見る僕はもう入門者気分でした。
女の子率の高いライヴというのは考えてみればなかなか新鮮で、椅子があるのにライヴが始まるやいなやワーッと立ちあがるのもまた新鮮。そしてMCになると「椅子があるんだから」みたいなことを言ってわざわざ着席をうながしたキリンジに好感を持ったのでした。
会場のせいか音が悪かったのですが、堀込泰行の予想以上のボーカルのうまさがそれを救います。あと、やっぱりメロディーメイカーとしての堀込兄弟の才能を再確認。ただ、アレンジはほぼCD通りで、楽曲をライヴでより魅力的にするということに関してはそれほど意識していない印象も受けました。
それでも終盤、名曲「Drifter」を歌い上げた後に、「牡牛座ラプソディ」「太陽とヴィーナス」「ムラサキ☆サンセット」というワイルドな感触の楽曲を続けて演奏したのにはちょっと興奮。あの部分でのキリンジが今夜一番魅力的でした。
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俺ニュースで知ったのが、三菱化学メディアから発売されるレコード盤風CD-R・「フォノアール」。音質には全く関係ないとわかっていても、こういうのを買ってしまう店頭での自分の姿がありありと想像できます。AV Watchの記事によれば特別高くもないみたいだし、わざわざ「アナログレコードではありません」と明記されているのも気に入りました。
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