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[2005年 12月 10日]
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JR紀勢線脱線:線路に草、車輪がスリップか

 和歌山県那智勝浦町のJR紀勢線那智駅構内で7日、普通電車がオーバーランして脱線した事故で、現場を調査した国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の南京(なんきょう)政信調査官らは、脱線現場の手前300〜400メートルからの線路上に、断続的にササや雑草などがすりつぶされたような跡があることを明らかにした。草の上で車輪がスリップした可能性が出てきた。

 南京調査官らは7日夕から約3時間、車両とレールの状況を調査。ブレーキ系統は常用、非常用とも作動していたことを確認した。車輪にはスリップした摩耗痕があり、ブレーキがかかった状態で回転が止まったまま進行した形跡がうかがえるという。ホーム中央付近の線路上には車輪がロックして滑ったような傷があった。

 JR西日本によると、この電車は始発で、運転士(58)は「時速50〜60キロに減速後、ホーム手前約150〜200メートルでブレーキを操作したが利きが悪く、非常ブレーキだけでなく予備のブレーキをかけた」と報告。雑草がたまった現場の状況が一致することから、草によるスリップの可能性もある。

 事故調によると、ブレーキが利かなかった原因として(1)落ち葉や凍結など自然要因による車輪のスリップ(2)人為的なミス(3)作動はしたもののブレーキや車両に何らかの不具合があった−−などが考えられるという。

 同社管内では、03年10月、兵庫県のJR播但線で、害虫のヤスデが大量発生し、列車の車輪がスリップして前に進めなくなった。落ち葉から出る脂分で車輪が空転した事例も全国各地で発生しているが、事故調によると、脱線したケースはないという。

 和歌山地方気象台などによると、現場付近では6日夜から7日朝にかけ、5〜6メートルの風が吹いていた。南京調査官らは8日朝も再度、現場を調査、車両をJR西日本和歌山支社の検車施設に運び、詳しく検査する。

 事故のため紀伊勝浦−新宮間は終日、運転を見合わせ、上下計48本が運休、約3100人に影響が出た。8日も朝から運休し、復旧は同日午後以降になる見通し。【松田学】

毎日新聞 2005年12月8日 3時00分

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