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戦いを終え、穏やかな表情でニューヨークの街を散策する松井秀 [写真を拡大]
2007年のシーズンを終えたヤンキースの松井秀喜外野手(33)がスポーツ報知の独占インタビューに答え、「今季は失敗しかない。力がないだけ」とけがに泣かされた苦しい1年を振り返った。来季は「まずはキャンプからポジション争い。1年目のような気持ちでやる。トレードもあるかも」と、トーレ監督のいない新体制のヤ軍で悲壮な決意を口にした。また19日、トーレ監督はニューヨーク郊外のホテルで会見を行い、退任を発表した。
―今季は143試合に出場して打率2割8分5厘。25本塁打と103打点はロドリゲスに次ぐ、チーム2位だった。
松井「フン(と鼻で笑い)…Aロッドがいなかったら、トップ? 彼の(54本)半分以下だから。2番と言えばすごいかもしれないけど、25本はすごくない。今季は失敗しかない。成功? ないもん」
―でも7月は打率3割4分5厘、13本塁打で、月間MVPだった。
「毎年、そういう時期があるもの。トータルで見たら、何もない。けがもするし、結果は出ないし、大事な場面で打てないし…。全然、話になりませんよ」
―開幕直後の左太もも肉離れは気温4度の寒さの中で起きたこと。不運もあったのでは?
「けがをするのは選手として、力がないだけ。不運で片付けちゃいけないもの。去年のように左手首を骨折したのは、別だけど。去年は試合に出てないんだから、それよりはいいけど、今年はプレーできたシーズンとしては、メジャーに来て一番良くないんじゃない? なにしろ体調が良くなかった。ひざも痛くなるし」
―右ひざ痛は、左太もも肉離れや持病の左ひざ痛をかばった影響で発症した?
「違う。長年の勤続疲労が今年になって出た、ってこと。(日本で)人工芝の上をずっと走ってきたから、そういうのが今ごろになって出てきたんでしょう」
―メジャーに来て、体が大きくなったことの影響もあるのでは?
「ベスト102、103キロはここ数年、変わってない。巨人時代も100キロ前後だった。ウエートコントロールの必要性? そこまで太ってない。そこまで大きくなってないよ」
―持病の左ひざ痛を発症したときの痛みと、今回の右ひざの痛みは違う?
「左は軟骨破損で、今回も詳しいことはまだ、はっきりしてないけど、軟骨の何かが問題。ただ今回の方が、痛い。検討してる手術の選択肢もクリーニング程度のもの、手術をしたら6週間は松葉つえ歩行というのもある。今はどの選択が一番いいのか、考えている最中。手術はするなら来月(11月)になるんじゃないかな」
―来月だと、来季への準備に支障をきたすのでは?
「一番大変な手術をしたら、ひょっとするとオフの準備は少し足りなくなるかもしれない。でも、キャンプでその分しっかりやれば、シーズンには間に合わせられる」
―右ひざを治して迎える来季。目標は?
「そうだな…来年は今までとは違うだろうね。(左翼は)このまま行ったら(今季と同じように)、ジョニー(デイモン)と併用でしょ。だからまずはキャンプから、ポジション争いだよね。ある意味、1年目の気持ちでやろうかな、って思ってる。もちろん5年の慣れはあるんだけど、気持ちとしては、ね」
―松井秀喜が定位置争いするなんて…
「しようがないでしょ。ヤンキースの中の松井秀喜なんだから。この球団では何が起こってもおかしくない、って思ってる。ニューヨークという街の影響か、それともこの球団だからか、それは分からないけど。トレードもあるかもよ。もちろん望んでいないけど、可能性はある、ってこと。トレードなんて、自分でコントロールできないんだから」
―巨人、ヤンキースと常勝を求められる球団という意味で王道を歩いてくれば、トレード先がどこになってもショックになるのでは?
「そんなことはないんじゃない? それはそれで、いいんじゃない? 何がプラスに転ずるか、分からないから。左翼の定位置確保も何もかも、なんでもベストを尽くして、ダメだったらダメ、ってこと。だから自分はベストを尽くすだけですよ。って、なんだかこのコメント、桑田真澄さんみたいになってきたな…『ゴジ、お前もそういう年になったんだな』って、そんな感じで桑田さんに言われるかな?(笑)」
―最近はどんな生活をしてる?
「部屋に引きこもって本ばっかり読んでるな。野球のことを考えず、緊張感のない一番幸せな時だからね。小説、歴史物、宗教関連のもの、って3冊を同時に読んでる。飽きたら次、みたいに同時進行。いつも『あ、もう外が明るくなってきたから、寝よう』って感じで、今日も寝たのは朝6時ぐらいだったな」
―プレーオフは観戦してる?
「全く知らない。松坂は投げてるんでしょ? え? レッドソックス、王手をかけられてるの? 知らなかったな…ジョー(トーレ監督)のことは、気にしてたけど」
―監督の退任については?
「(トーレ監督とは)野球観が同じ。自分がそれまで持っていた考え方や取り組み方を、そのまま何も変える必要がなかった。12年間監督を務めて12回のプレーオフ出場はとてつもないこと。僕からひと言伝えるとしたら、やっぱり『ありがとうございました』しかない」
(2007年10月21日06時00分 スポーツ報知)
〔野球コラム〕