ZOIDS ORIGINAL STORY Z-KNIGHT BATTLES
第1話 HJ−EX1989年夏号



○今月号より「Z-KNIGHT BATTLES」と題して、Zマシン(=ゾイド)乗りガイ・グランバールを中心に毎回対戦物を展開してゆきます。第1回目はデッド・ボーダーをベースに2種類のマシンを村田護郎デザイン、G・ピエロ製作でお届けします

○ヘリック共和国は永らく続いた暗黒帝国(ガイロス帝国))との大戦にようやく終止符を打った……。この物語は後に暗黒帝国軍との第二次大戦が勃発するまでのわずか5年前に、ヘリック共和国グルガニア地方で一部の貴族階級を中心に流行した“Z騎士道”と呼ばれる、死を賭けた戦いに散っていった闘士達のものである。

STORY/Yuichi Kitano・PHOTO/Studio R・DESIGN/Goro Murata・MODELS/G・PIERO




ギガフロップス
パイロット/ガイ・グランバール
エル・ボーダー
パイロット/マット・アンダース


■無敵!ガイ・グランバール

「まもなく闘士の入場です。どうぞ、大きな拍手でお迎え下さーい!」
 リングアナの少しおどけた声が閉ざされた空間に響き渡った。
 本当にやな声の野郎だ。
 俺は専用のヘルメットを浅目に被ってコックピットの中へ入った。
 ああ狭めえ…いつも乗る度に口に出るセリフだ。
『ガイ・グランバール、用意はいいか』
 メットの中で存在する意味のない連中=審判員の声が聞こえた。
『ガーイ、気をつけろよ。
 おめえの乗ってるギガフロップスと同じシャシーを使ってるぜ。敵はよ』
 俺の雇い主ジャックのいやみな声だ。
「そんなのは見ればわかるだろう。いちいち声をかけるな」
 俺が少し腹立たしく返事をすると「武器もよく見とけ!」と少しボリュウムをアップしていきなり切りやがった。
『ガイ・グランバール、リフトに乗れ』
「オーケイ…」
 今月の相手は俺同様に15連勝中のマット・アンダース。
 マットも俺も、デビュウ以来負け知らずだったが、ようやく“夢の対決”って奴が実現したってわけだ。
 リフトがガタン、といって止まった。
 外部のマイクをオンにすると身勝手なギャンブラー共が大声を張りあげて盛り上がっていやがる。
『ガイ・グランバール』
 低い声が俺を呼んだ。
 敵のマット・アンダースの相手を威圧するような声が続いた。
『今日でお前は終わりだ。今のうちに帰って、ジャックのケツでも嘗めてやれ』
 汚い言葉をはく野郎だ。
 俺は相手の挑発に乗るほどマヌケじゃない。
 わざと黙っていた。
『どうした、やっぱり恐ろしいか!ガッハハハハ…』
 なんとでもほざきやがれ。
『両者とも前に出て、ルールはわかっていると思うが、マシンが戦闘不能になるまでだ。以上、オーケイか?』聞くだけ無駄な説明が終わると、すべてのスイッチをオンにして、バイザーを降ろした。
 再びリングアナの甲高い声が場内に響き渡った。
『皆さん、今日の勝者が新記録を達成することになります。
 勝者には協会から特別表彰と共にボーナス1000クルーグが渡されます』
 俺達には過去の記録を破る16連勝がかかっていたのを忘れていた。
『俺のものだ! 俺のものだ!ガッハハハハ…』
 マットの奴が外部スピーカーを通して声高らかに勝利を宣言した。
 本当に口が達者な奴だ、今、静かにしてやるぜ……
 ブザーが鳴って試合が始まった。
 先に攻撃を仕掛けてきたのはマットだった。
『死ね!』
 ルールが無ければ、相手の声をオフにできるのに。
『こっちはスピードではるかに優っているんだぞ!
 ガイ! 何をやってる!』
 ああ、もう1人のうっとうしい声も聞こえてきやがった。
「パワーはあっちが上だよ! ジャック」
 俺はフルスロットルにしてマキシマムのスピードでマシンを移動した。
 奴の大型ビーム砲があっちこっちにある障害物を吹き飛ばしていく。
『終わりだ! これでお前は終わりだ!』
「うるさい奴め!」
 たった1言だけ、マットにそう言うと俺はビーム砲が使えない距離にまで奴のマシンに迫った。
「くそったれが!!」
 奴のマシンのもう片方のクローをかわすようにして体当たりをかませた。
 マットのマシンが大きく仰向けになったその瞬間、俺は爪先のクローでとどめをさした…
『勝負あり!』
『くそー、次は別のマシンで…』
 メットの中で同時に3つの声が変わった。
『やりました! 皆さん、ガイ・グランバールが新記録達成です!
 すばらしい、本当にすばらしい記録です!』
 場内にはギャンブラー共の歓声とリングアナの甲高い声がいつまでも響き渡っていた。
『ガイ、特別ボーナスはいつもより取分を多くやるぞ。よくやった、ハッハハ』

 何が取り分だ、クソッタレ!















第2話(未入手)

第3話


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