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■柳沢金融担当相の処遇、焦点に 内閣改造あす再協議小泉首相は25日、内閣改造をめぐり自民党の山崎拓幹事長、青木幹雄参院幹事長、福田官房長官と首相官邸で会談した。26日に行われる公明、保守両党との党首会談を踏まえ、27日に再協議し結論を出すことを確認した。 首相は当初、25日の会談で内閣改造や自民党役員人事について判断する考えを示していた。しかし、首相は会談後、焦点になっている経済閣僚のうち「不良債権処理の加速」を指示している柳沢伯夫金融担当相について「どういう対応をするか、改造と絡んでくる」と記者団に説明。柳沢氏が示す具体策の内容を踏まえて留任か交代かを判断するため、時間をかける考えを示唆した。 4者会談では、公明、保守両党に閣僚枠を1ポストずつ割り振る前提で、26日に神崎武法・公明党代表と野田毅・保守党党首の意見を聞くことを確認した。 首相は記者団に、党首会談で国会日程などを決めることを説明し、「27日に相談し、(人事を)判断すればいい」と語った。また、山崎氏は内閣改造の日程について「30日に予定されている」との見通しを示した。
■米高官、来月にも訪朝 米韓首脳が電話で直接協議【ワシントン25日=石合力】複数の在米外交筋によると、ブッシュ米大統領は25日朝(日本時間同日夜)、韓国の金大中大統領と電話会談し、「高位級の政府特使を早い時期に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に派遣する計画だ」と伝えた。時期は明示していないが、早ければ10月中にもケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)を派遣する見通しだ。 17日の小泉純一郎首相の北朝鮮訪問後、米韓首脳が直接協議したのは初めて。会談では、日朝会談の結果や朝鮮半島情勢についても意見交換し、両首脳は南北間、日朝間の対話促進の動きを歓迎。米政府が特に懸念している北朝鮮の大量破壊兵器、ミサイル開発問題などの解決に向けて進展を目指すことで一致した。 米政府は先にケリー氏の派遣を決めていたが、6月に黄海で北朝鮮艇と韓国警備艇との砲撃戦が起きたことから延期されていた。米政権内では、日朝首脳会談後の対応について、北朝鮮への対話路線は、独裁体制の存続を認めることになるとの考えから、ケリー氏の訪朝を急ぐべきではないとの慎重論も出ていた。
■有本さん拉致容疑で逮捕状 「よど号」安部容疑者83年に英国留学中の有本恵子さん(当時23)が北朝鮮に拉致された事件で、警視庁公安部は25日、結婚目的誘拐の疑いでよど号ハイジャック事件メンバーの安部(現姓魚本)公博容疑者(54)の逮捕状を取った。公安部は今後、北朝鮮に対し、同容疑者を含むよど号事件メンバー4人と国際手配中の妻の身柄引き渡しを求める方針。 また有本さんの拉致に関与したとされるよど号メンバーのリーダー田宮高麿幹部(95年に死去)とメンバーの元妻八尾恵・元スナック店主(46)について、公安部は同容疑で書類送検する。 調べでは、八尾元店主は田宮幹部から若い日本人女性を見つけてくるように指示され、83年5月、英国で知り合った有本さんを「市場調査のアルバイトがある」などと誘った。83年7月中旬、コペンハーゲンで、貿易会社の社長を装った安部容疑者、北朝鮮工作員のキム・ユーチョル在ザグレブ(旧ユーゴスラビア)副領事に有本さんを紹介。モスクワ経由で北朝鮮へ拉致した疑い。 よど号事件グループは当時、「日本革命」の同志となる日本人を北朝鮮に連れてくる「獲得工作」を進めていたとされる。 公安部は、北朝鮮が死亡と伝えてきた石岡亨さんと松木薫さんについても、よど号グループが拉致に関与した疑いがあるとして捜査を進める。 ◆「ソガさん」と調査団面会へ 北朝鮮による日本人拉致事件の調査などのため、政府が28日から10月1日まで平壌に派遣する調査団は、新潟県出身の曽我ひとみさんと見られる生存者とも面会することになった。日朝首脳会談の際、北朝鮮側が安否情報を示した被害者のうち、「ソガ ヒトミ」さんだけは日本側が事前に把握しておらず、生存者と面会した梅本和義・駐英公使も会っていなかった。
■基準内の損傷なら原発運転可能に 自主点検を法定化
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高齢化で増え続ける医療費負担について坂口力厚生労働相は25日、制度の抜本改革案を公表した。07年度をめどに老人保健制度を廃止し、年齢や所得に応じて、医療保険団体が相互に、負担調整するルールを導入。国が運営する政府管掌健康保険と市町村の国民健康保険は都道府県単位で再編し、健康保険組合は統合を進める。診療報酬体系は2年後をめどに、医療技術と医療機関の運営コストの二つの尺度から見直すよう提案した。
厚労省はこの案に沿って改革を進める手順を詰め、11月にも省案を示す方針。年末をめどに与党などと調整し最終案をとりまとめる。
高齢者医療費の新たな負担ルールは、年齢構成が全国平均より高い団体を、若者が多い団体が財政支援。所得が把握しやすいサラリーマンの保険では、収入が比較的高い公務員の共済や大企業の健保が、中小企業が多い政管を支える。
被用者保険と国保が割り勘でまかなっている現行の制度に比べれば、各保険の運営団体の負担が公平になるとしている。
調整が実現し、運営団体による保険料の格差がなくなってくれば、5千を超す団体の再編・統合は進めやすくなる。厚労相案は再編の規模を最終的にはすべての運営団体を都道府県単位に集約させるよう図る。保険業務に通じた民間企業などが手がける運営団体の参入も検討し、企業の枠を超えた再編を促す。
民主党の鳩山由紀夫代表と中野寛成幹事長は25日、執行部人事について協議したが、幹事長人事への反発が強く、調整は進まなかった。鳩山氏は執行部人事の承認を求めることにしていた26日の両院議員総会を先送りすることを決めた。代表選を戦った菅直人氏ら3氏との会談を早急に開き、事態打開を図る方針だ。
鳩山氏は25日、菅氏と電話で会談し、党運営への協力を求めたが、菅氏は「一兵卒として協力したい。人事は代表の思う通りやった方がいい」と回答。また、中野氏も横路孝弘氏に電話し、鳩山氏と会うよう求めたが、横路氏は「私は協力するから個別に会う必要はない。(人事は)もうちょっと冷却期間をおいてはどうか」と語った。
一方、菅氏の支持議員、前原誠司代議士ら若手議員がそれぞれ会合を開き、「旧党派、論功行賞で人事をする鳩山さんの感性が理解できない」「自民党より旧態依然だ」などの批判が相次いだ。
こうした党内状況を踏まえ、鳩山氏は同日夜、党本部で記者団に「代表選に立候補した4人で一度集まりたい。相手は小泉内閣なのだから、協力をお願いして、一丸となった形を作りたい」と語った。
また、中野氏は、国会内で記者団から「幹事長を辞退する考えはあるか」と聞かれ、「私は残念ながら実績も上げていないが、失敗もしていない。私が進退を考える状況にはない」と強調した。
増え続ける小中学生の不登校対策で、構造改革特区への対応を検討していた文部科学省は、引きこもりの子どもに限ってインターネットを活用した自宅学習を認める方針を固めた。同省はこれまであくまでも学校に復帰させるのを原則としてきたが、自治体の取りうる対応策の幅を広げるものとなる。
認められた特区が成功し他の自治体も続けば、弾力化が全国に広がる可能性もある。
インターネットによる教育は、政府が進める特区にからみ、岐阜県から「不登校児童生徒対策として小中学校の通信制課程の設置を」と提案されたのをきっかけに、検討していた。子どもが引きこもり、どうしても通学できない場合、インターネットで少しでも学べるのなら認めるとの考えだ。
文科省は92年から、学校復帰を目指すフリースクールなどに通う場合は校長裁量で出席扱いにしてきたが、今回の弾力化で、インターネットの学習を提供する場合も含まれることになる。小中学校は対面授業を前提としていたが、その枠を緩める意味もある。
同省は▽特区内に住んでいる引きこもり状態の児童生徒だけを対象とする▽通学すべき学校への復帰を前提とする▽面接や訪問指導が適切に行われる――などが条件として必要だとしている。
一方、不登校児童生徒を対象にした「ジュニアマイスター・スクール」をつくる東京都八王子市の提案を受け、指導要領に基づかない体験活動などのカリキュラムの緩和も検討。学習指導要領にとらわれない研究開発学校制度を弾力的に運用することで容認する。
われはなぜわれに生(あ)れたる 中年の男の問ふは滑稽(こっけい)ならむ
伊藤一彦(いとう・かずひこ)
『柘榴(ざくろ)笑ふな』(平一三)所収。「われ」がほかならぬこの「われ」として生まれたのにはどんな理由があったのか。この問いは、とりわけ多感な青春期にふさわしいと思う人は多いだろう。その常識に立って、作者は中年男としてあえて自らにそれを問いかけ、「滑稽だと人は笑うだろう」と呟(つぶや)く。もちろん真意はその逆。この単純で深い問いはいつなんどきでもやってくる。人はたえずそれを躱(かわ)して生きのびているが。
《写真》 Douglas Brooks(41)。「知り合った船大工16人のうち、6人亡くなった。いま記録しないと」
身長188センチの弟子が背を折り、くぎ穴を開ける。見守る師匠、藤原一善さん(74)=写真左=の伝授は身ぶり手ぶりだ。
東京都江東区の作業所で9月から、伝馬船を造っている。米国の文化交流財団の支援を受け、2隻を4カ月で完成させる。
「シンプルな外見を精度の高い職人芸が裏打ちしている。後世に残したいのです」
米国の大学で海洋学を学び、博物館の研究員として外輪蒸気船などの修復・復元に携わった。和船との出会いは初来日の90年。「木材を無駄にせず、独特の技術で板と板をつなぐ技に魅せられた」。来日を重ね、船大工を訪ね歩いた。
高知県の職人が見せてくれた図面には、簡単な輪郭しかなかった。寸法を尋ねたら、秘密だと言われた。「盗み稽古(けいこ)」という職人気質に驚き、弟子を持つ人の少なさに「どう伝えていくのか」と心配が募った。
新潟・佐渡では、最後のたらい舟職人に「弟子にしたい」と言われた。弟子入りし、技を書き留めた。帰国後、師匠の死を知った。佐渡を再訪し、この記録をもとに、師匠が途中まで手がけた舟を仕上げた。
今回、師匠になった藤原さんにも後継ぎがいなかった。「あきらめていたら、はるばるやって来て技術を記録してくれる。米国人の奥の深さを感じるね」
来年は、青森で弟子入りする。「いつの日か、自分の手がけた米国の伝統船と和船を並べて展示したい」(文・写真、飯竹恒一)
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