約2年間の沈黙の後、日本代表で2試合連続のゴール。「得点するだけがFWじゃない」と、頑固なまでに主張してきた柳沢が、少しずつ変わってきている。
「結果を出したい」。サンプドリアに移籍してから、その言葉を繰り返してきた。セリエAでは結果が最も重視される。生き残っていくためには、いくら良い動きを見せても、一つのゴールの重みにはかなわない。チームが得点するために確率の高いパスを出すよりも、自ら強引に突破したり、相手が立ちはだかっても構わずシュートしたりするようになった。
得点シーン。柳沢は中村と中田のパス交換の間に左へ動いた。中田から浮き球のパスがきたとき、相手DFの背後を取ってフリーになっていた。左足から放たれたシュートがゴール右隅を正確にとらえた。定評ある球を受ける前の巧みな動きに、思い切りのよさが合わさったゴールだった。
柳沢は言った。「1点負けていたあの場面でゴールを決められてよかった」。ゴールの「重み」を知ったFWは、その一言に思いのすべてをこめた。
(10/12 00:50)
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