クアラルンプールでの日朝国交正常化交渉で１１月中に開催する方針で合意した安全保障協議について、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）が具体的な議題の設定に難色を示していたことが分かった。日本政府は拉致問題と並んで核開発問題での進展を最優先課題に位置づけているが、安保協議が日本側の期待通りに進むかは不透明な情勢だ。川口外相は３１日、米韓両国外相と電話で協議し、北朝鮮の核開発阻止に向けて引き続き連携をとることを確認した。
３０日の正常化交渉で、日本側は（１）１１月中の開催（２）レベルは局長級（３）具体的な議題の設定、を提案した。北朝鮮側は（１）と（２）については受け入れたが、（３）については「議題を今決めることは出来ない」と難色を示した。双方はとりあえず「日朝平壌宣言に沿った議題設定」とすることで一致。日本側は核・ミサイル問題などが当然含まれると見ているが、北朝鮮側の今後の出方は読み切れない面がある。
外務省首脳は３１日夜、「安保協議で進展があれば、本交渉の負担は減るが、そんな簡単に進展はしないだろう」との見通しを示した。
また川口外相は３１日、米韓両国の外相と相次いで電話で話し合い、「拉致問題と核問題をはじめとする安全保障上の問題について、今後とも毅然とした姿勢で交渉していく」との方針を伝えた。
これに対し、パウエル米国務長官は「特に核問題は重大で、日本が引き続き北朝鮮に働きかけていくことが重要だ」と指摘。韓国の崔成泓外交通商相は「核問題について日本側の立場をしっかり伝えられたことを評価する」と語り、今後も３カ国が緊密に連携することで一致した。
一方、拉致被害者５人の家族の帰国が焦点になっている拉致問題について、日本側は正常化交渉で、政府間で連絡を取り合うチャンネルの設置▽第２次調査団の派遣などを求めた。北朝鮮側からは明確な回答はなかったという。
ただ、政府は拉致問題に限定した日朝の実務者協議を安全保障協議の前に開くよう求め、北朝鮮から何らかの譲歩を引き出したい考えだ。譲歩がなければ、北朝鮮側が求める１１月末の次回交渉には応じない方針。北朝鮮との連絡窓口としては、交渉実績のある赤十字ルートや、北京にある両国大使館ルートなどを想定している。
(03:03)
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