滋賀園児殺害…メールできず孤立感
滋賀県長浜市で幼稚園児2人が刺殺された事件で、中国籍の鄭永善容疑者(34)は、ほかの保護者らが携帯電話でメールをやりとりしているのを見て、仲間外れにされたと思い込んでいたことが20日、長浜署捜査本部の調べで分かった。鄭容疑者は日常会話には不自由しなかったが、日本語でメールを出すのは難しかったとみられる。捜査本部では、メールが同容疑者が孤立感を深める1つの要因になったとみている。
調べでは、鄭容疑者は日常の会話で意思疎通はできたものの、ときどき話の内容についてこられなくなる場面があったという。さらに、言葉を文章化する日本語でのメールはうまくできなかったらしい。
市立神照幼稚園のお母さんらがメール交換する様子を見た鄭容疑者は「仲間に入れてもらえない」と知人に漏らしていたという。鄭容疑者は犯行の動機について、長女が幼稚園などで仲間外れにされていると思い込んだためと供述している。捜査本部はそれに加え、鄭容疑者自身が周囲のお母さんから相手にされていないと一方的に思い込み、孤立感を深めたことが事件の背景にあったとみている。
鄭容疑者は約6年半前に来日。長女(5)が幼稚園に入るころの約2年前、知人(34)に「ほかのお母さんたちとメールを交換したいので、携帯を持ちたいがどうしたらいいか」と相談した。だが、最近では「幼稚園のお母さんとなじめない」と愚痴をこぼすようになったという。
一方、鄭容疑者が凶器として使った包丁は、自宅にあった3本のうち一番長いものだったことも捜査本部の調べで分かった。凶器は刃渡り約20センチの刺し身包丁。新品ではなく、普段から調理で使用していたものだったという。鄭容疑者は「2人を車に乗せてから殺害場所を探していた」と供述しており、捜査本部はすぐに実行に移せるよう準備していた可能性もあるとみて、包丁を車内のどこに置いていたのか調べている。
[2006/2/21/08:16 紙面から]
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