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佐世保発砲:スポーツクラブ乾いた銃声…いったい、なぜ?

佐世保みなとICで検問する警察官=長崎県佐世保市で2007年12月14日午後9時20分、金澤稔撮影
佐世保みなとICで検問する警察官=長崎県佐世保市で2007年12月14日午後9時20分、金澤稔撮影
事件について会見するルネサンスの斎藤敏一社長=東京都墨田区のルネサンス本社で2007年12月14日午後9時43分、竹内幹撮影
事件について会見するルネサンスの斎藤敏一社長=東京都墨田区のルネサンス本社で2007年12月14日午後9時43分、竹内幹撮影

 「パンパン」--。乾いた銃声が子供らでにぎわうスポーツクラブに響き渡った。長崎県佐世保市名切町の「ルネサンス佐世保」で起きた銃撃事件は死者2人とけが人数人を出す惨事となった。ライフルを撃った男は現場から離れ、逃走中との情報もある。「いったい、なぜ」。市民が訪れる集客施設での凶悪事件に、スポーツクラブに通っていた子どもや親、付近住民らは恐怖に震えた。

 クラブ内にいた男性は「午後7時過ぎに外国人のような男が正面玄関からクラブに入り、その直後『パンパン』と音がした。男は迷彩服のような服を着て頭にはフードをかぶっていた」と証言した。

 子どもを、クラブ2階のプールに連れてきて、自らは近くの廊下にいたという40代の女性は「体の大きな男が迷彩服をまとって、脱衣場に入っていくのを見た。その後、すぐにプールサイドに出て、自動小銃のような銃を構えて歩き出した。子どもたちが叫んで逃げまどっているのが見えた」と真っ青な表情で話した。自身の子どもは非常階段で逃げて無事だったという。

 プール近くにいた小学生の男児は泣きながら、利用客らの避難場所になっていた近くの菓子店に逃げてきた。しばらくしてやや冷静さを取り戻し「頭に黒いバンドのようなものを着けた外国人のような男の人が入ってきて最初は何かのイベントかと思った。そうしたら銃をすぐに撃って怖かった。他の人と一緒に非常階段で逃げた」と語った。

 当時3階のトレーニングジムにいた佐世保市の無職男性(64)は「吹き抜けでガラス張りになった2階のプールの方から銃声が2発聞こえた。プールにいた5、6人の子供たちをインストラクターが大声で隅の方へ避難させていた」と興奮した様子で話していた。

 事件直後に中に入った会員の若い女性は「運動しに来たら、眼鏡をかけた男性が倒れているのが見えた。男性が2人出てきて電話で救助を求めていた。私も『逃げろ、逃げろ』と言われて押し出された」と目を赤くして話した。

 一方、ビル近くにいた女性は「救急車やパトカーが次々に来て、けが人が担架で運び出されていた。スポーツクラブにいた人たちが20人くらい、トレーニングウエアのまま走り出てきた」と語った。

 ◇死亡した倉本さん「明るくて誰からも好かれ…」

 死亡した倉本舞衣さんと小学校時代から同じスイミングスクールに通っていたという友人の女性(26)は「明るくて誰からも好かれる子だった。8月に会って『バリバリ頑張ってる』って言っていたのに……」とショックを隠せない様子だった。

 また、倉本さんを知るスポーツクラブの女性会員も「明るい人だった。インストラクターの自己PR欄に『(歌手の)倉木麻衣に似ているのは名前だけです』などと冗談を書いていたのだが……」と話していた。

 一方、倉本さんの親族らは報道陣の問い掛けには答えず、涙ぐみながら無言のまま病院を後にした。

 ◇正面玄関から侵入し発砲

 事件を受け、現場のスポーツクラブを運営するルネサンス(東京都墨田区)の斎藤敏一社長が14日夜、記者会見した。斎藤社長は「健康になりたいという人が集う場所でこのような事件が起こり、大変残念だ。亡くなった倉本舞衣さんのご冥福と、けがをされた方の一日も早い回復を祈るとともに、一刻も早い犯人の逮捕を願っている」と沈痛な表情で語った。

 事件の一報が入ったのは午後7時20分ごろ。現地のスタッフらの話によると、犯人とみられる男は2階正面玄関から侵入し、ライフル銃のようなものを発砲。発砲音を聞いたスタッフがロビーに行くと、会員の男性が倒れていた。その後、男は事務室、プール、ギャラリーで発砲を繰り返したという。

 当時、施設内には会員約50人とスタッフ約20人がいた。プールには、15人ほどの会員と5人のスタッフがいた。会員の家族ら7人が、プール隣にあるギャラリーで練習の様子を見ていたという。

 倉本さんは02年5月、アルバイトのスイミングインストラクターとして入社。主に子どもたちに水泳を指導していたという。斎藤社長は「指導に情熱を傾けており、仕事を愛していたと思う。大変残念です」と語った。【桐野耕一、武内亮】

毎日新聞 2007年12月14日 21時06分 (最終更新時間 12月15日 1時08分)

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