長い題名だが、ただいまヒット中の映画シリーズ第2作。歴史学者のベン・ゲイツは、リンカーンの暗殺者の日記に自分の先祖の名が首謀者として記されていたことを知る。汚名をそそぐため、カギとなる秘宝探しの旅に出る。ロンドンでは女王の部屋の机、ワシントンでは大統領の机から秘密を探り、4人の大統領の顔が彫刻されたラシュモア山へ。山場は現職大統領の誘拐。歴代大統領がもつ秘密の本の内容を聞き出すためだ。宝探しプラス観光アドベンチャー映画として、まずまずの出来栄えだ。
次々と謎が登場し、舞台もめまぐるしく変わる映画のように、市場もクルクルと局面を変える。いまの米国株式市場は、成長の減速だけでなく景気後退をも読み始めたようだ。
私は2007年11月、米シティグループへの中東マネーの出資が好感されて株価が反転したのをみて、米国の金融不安はヤマを超えたと書いたが、速断にすぎたようだ。シティに限らず米金融関連株は、その後も新安値を更新している。景気指標も、特に消費関連は弱いものが多い。
昨年末のクリスマス商戦は不調で、デパート株も急落。今冬の暖房費を支払うため、米全世帯の12%が借入金を必要としているという。消費が伸びないわけだ。今年前半の米国経済はひどい状況になりそうだ。
◇日本株は歴史的な買い場
それでも世界経済は5%弱の高度成長を続けるだろう。新興国の金融市場に大きな混乱はなく、資本逃避も起きていない。丸紅経済研究所によると、昨年の世界の実質GDP成長率5・3%のうち78・2%は新興国が支えている。そして、日本はこれら新興国の近代化投資に必要な資材の輸出で成長している。世界の成長を支えているのは日本の重厚長大産業なのだ。政治のモタつきで外国人投資家は日本株を敬遠しているが、中東や新興国の国富ファンド(SWF)など中長期視点の投資家が市場の主役になりつつある。私の日本株への強気姿勢は変わらない。日経平均株価は2月に1万4000円台で2番底という見通しも不変だ。
07年の大晦日の『ウォールストリート・ジャーナル』紙は「08年の日本株はおそらくいい買い物になる」と書いた。日本株の水準は歴史的にも割安。PER(株価収益率)は03年に日経平均株価が7600円まで下げた時より低いし、PBR(株価純資産倍率)も1・5倍。上場株式の40%はPBRが1倍以下で、米国の2・5倍、アジア諸国の3倍以上に比べ著しく割安だと同紙はいう。配当は07年9月中間期で前年同期比25・1%も増えている、とも。
個別銘柄では、業績好調だが株価の安いホンダやキヤノン、自社株買いが材料になるJFEホールディングスや三菱自動車を同紙は挙げている。私も、輸出関連株は業績発表が見直し買いの契機になると考える。
映画のセリフから。主人公が言う。「人生は一度きりだが歴史に名を残せればそれは永遠になる」。歴史的な割安水準は、買いあるのみ。
2008年1月15日
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