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社長インタビュー

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セメダイン 黒川靖生社長

くろかわ やすお 1965年、関西大学商学部卒、セメダイン入社。96年名古屋支店長、97年取締役、2001年常務取締役、02年に社長就任。65歳。
くろかわ やすお 1965年、関西大学商学部卒、セメダイン入社。96年名古屋支店長、97年取締役、2001年常務取締役、02年に社長就任。65歳。

◇ブランドに安住せず、収益力でナンバーワンに

-- 建築土木関連で売り上げの半分を占めているとお聞きしました。

黒川 その通りです(2007年3月期連結売上高218億円の50%)。クギなどを使わないため、見た目がきれいであることや、簡単に接着できることでビルや戸建て住宅での建築用接着剤の使用が増えています。外装ではタイルの接着とか、また、接着剤ではありませんが雨漏りを防ぐシーリング材など、内装では床や壁、天井とほとんどのところで接着剤を使っています。特に内装はかつての木材から、耐火性のある材質に変わったところが多く、クギが打ちにくくなっています。

-- 改正建築基準法の影響で、建築分野は冷え込んでいるようですが。

黒川 足元は、相当冷え込んでいます。周知徹底が十分でなかったなど、一時的な要因で冷え込んでいるだけ、との見方がありますが、私はそうは考えていません。やはり、少子化により人口が減ってくる影響は大きいと見ています。これまでは品質の高い住宅への需要や、都心回帰によるマンション需要等で見た目、良かったにすぎません。新設住宅着工件数は今後、一時的な要因ではなく、時代の流れによって大きく落ち込んでいくでしょう。それを前提に、経営していかざるを得ません。

-- 経営的には大変ですね。

黒川 新築がそう伸びないとすると、国内では、住宅ストックのリフォーム需要をいかに取り込むかです。それとともに、海外、特にアジアでの住宅需要が旺盛なこと。経済成長によって生まれた富裕層は、健康への関心がものすごく高い。住宅でも、健康にやさしい、いわゆる健康住宅への需要が高まっています。この健康住宅でカギを握るのが、接着剤なのです。

◇高まる健康住宅指向

-- シックハウス症候群が注目を浴びました。

黒川 接着剤や塗料などに含まれる化学物質などによって引き起こされるものですが、使える物質などが厳しく規制され、日本の接着剤は世界で見ても、健康に配慮したものになっています。海外のビルなどに入ると目が痛くなったり、ツーンと鼻を突く臭いがすることがあります。日本のビルでは考えられないことです。

 海外を回っていて感じることは、日本の住宅にあこがれている人が多いことです。日本的とかの美観ではなく、やはり、健康的という視点からだと思います。

-- 現在の海外売上比率は?

黒川 売り上げで10~12%です。将来的には、これを30%くらいにもっていきたいと考えています。

-- 建築土木以外では何があるのでしょうか。

黒川 ホームセンターやスーパー、文房具屋さんで扱っている接着剤が一般消費者関連の商品で、もうひとつが、工業用の接着剤です。自動車から、造船、テレビ、携帯電話、パソコンなどと、あらゆる工業製品に接着剤は欠かせません。

-- 原油高騰の影響は。

黒川 当然、コストアップになっています。これまでは業務改善を含め、合理化でそれを吸収してきました。にもかかわらず、どの製品にしても接着剤は主役になれず、価格はデフレ傾向にずっとありました。価格を上げるどころか、下がらないようにするのに必死でした。しかしさすがにここにきて、やれることは底を突いてきた感があります。

-- ところで、「セメダイン」のブランド力は相当強いですね。

黒川 海外の営業でも、「セメダイン」と言えば、必ず会ってもらえます。私が言うのも変ですが、すごいことだと思っています。アジアでは、偽物が出回っています。

 一方で、そのブランド力に頼っている、安住しているという側面もないとは言えません。言い換えれば、企業としては、少し甘さがあるように考えています。ブランドの強さをうまく生かし、もっと攻撃的に経営していかないといけないでしょう。

-- 具体的には。

黒川 ブランド力はあっても、今はまだ、本当の意味でのナンバーワンではない。収益力でナンバーワンになる必要があります。

 そのために、05年に開発センターを設置しました。企業力はやはり、開発力と技術力。それをより高めていく。また、アジア地域の生産の効率化を図るために、セメダインタイランドに加えて、04年にタイにアジアセメダインを設立。メーカーとしては供給責任を果たしていくことが、信頼につながることでもあり、国内でも岡山に新工場をつくりました。08年にはグループの物流を一本化して、効率化も進めていきます。

 ひとことで言えば、「価格営業から価値営業」へ。安定した品質、製品の信頼性、安定供給と総合的な価値を認められるようにすることで、自らの足を引っ張るような価格競争はしない。安ければいい、では収益力はつきません。

 2008年1月9日

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