【上海・大谷麻由美】中国・上海万博の目玉になるはずだった、リニアモーターカーの万博会場への乗り入れが断念される見通しになった。万博関係者が18日、毎日新聞などに明らかにした。ドイツとの技術移転に関する協議が難航し、建設が間に合わないためで、上海市は現路線の延長計画そのものも再検討する。
03年にドイツの技術供与で開業した上海のリニアモーターカーは、浦東(ほとう)国際空港から竜陽路まで約30キロを最高時速430キロで結ぶ。延長計画は竜陽路から万博会場を経由して浙江省杭州へ向かうほか、上海の西郊にある虹橋(にじばし)空港に分岐する。
昨年5月、中独間でリニア延長に関する協議が行われたが、中国側は両国が現地合弁会社を設立し、設備や部品の大部分を中国国内で生産する方式を希望。一方ドイツ側は、技術使用権の買い取りを求めたが中国側が拒否し、協議は中断したままとなった。
延長予定地ではリニアの磁場による健康被害への懸念が出ているほか、延長計画の建設総工費は350億元(約5370億円)に上る見込みで、「無駄」との批判も多い。政府系シンクタンク研究者は「リニアではなく、新幹線のような高速鉄道にする可能性もある」と指摘し、根本的な計画見直しもありえるとの見方を示した。
毎日新聞 2007年12月19日 2時30分