女の気持ち・男の気持ち

　あんなに写真を撮られるのが大好きだった孫が、３歳の誕生日を過ぎたとたんに「撮っちゃだめ」と、カメラを向けると大急ぎで逃げ出すようになった。いつもピースサインのポーズをして、喜んで撮らせてくれていたのがうそのようである。息子は「反抗期だ」と笑っているが、なぜだか理由がよく分からない。孫の写真を撮り続けてきた私は、楽しみがなくなってしまい、とてもさみしい。

　この間、いつもジーパンばかりはいている孫が、珍しくスカートをはいて遊びにきた。お気に入りの、茶色のブーツがよく似合っていた。あんまり可愛いので、撮ろうとカメラを取り出していると、「いや」とすぐに家の裏へ一目散で逃げていった。せめて遊んでいるところを望遠レンズでこっそり撮ろうかとも思ってみたが、なんだか孫に悪いことをしているようで結局やめた。カメラを首からぶらさげたまま、「やっぱりだめだったわ」としきりに残念がっている私を見て、「おとうさん。またふられたね」と妻がくすくす笑っていた。

　すっかり写真嫌いになってしまった孫だが、「じいちゃん撮って」とまた言いだす時はくるのだろうか。孫の気が変わるのを気長に待つ以外ないが、今日もカメラの手入れをしながら、その日を心待ちにしている。

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