【ニューデリー栗田慎一】アフガニスタンのカルザイ大統領は26日、パキスタンのイスラマバードを訪問し、ムシャラフ大統領と会談した。今年1月以降、アフガンの治安悪化をめぐり責任を押し付けあった両国だが、共同記者会見では「パキスタンからアフガンへの過激派の越境が著しく減っているとの認識で一致した」として、関係修復を印象づけた。ただ過激派の攻撃が今月中旬以降、パキスタン側で急増しており、「自爆テロの主戦場」が同国に移った可能性が指摘されている。
パキスタンでは今月15日の非常事態宣言解除の直前から、アフガン国境付近で軍を狙った自爆テロが相次ぎ、計約70人が死亡した。その一方で、アフガンの首都カブールでは10日以上も自爆テロが起きておらず、市民は久しぶりに平穏な年末を迎えようとしている。
カルザイ大統領の訪問に先立ち、米国のゲーツ国防長官は「(国際テロ組織)アルカイダがパキスタンの部族支配地域で組織を再構築し、活動を強化している」と警告した。ムシャラフ政権が拒否し続けるパキスタン国内での米軍の軍事活動を認めるよう迫ったものとみられる。
カルザイ大統領にとって、来年1月8日の総選挙を前に訪問した理由は、文民大統領に転換したムシャラフ大統領にいち早く会い、支援を表明することにあった。カルザイ大統領は今夏以降、「治安の回復には隣国の支援が必要」と公言し、米国の意向に反してイランなど近隣国との関係改善を急いでいる。
両大統領は会見で、「両国民はテロに苦しみ、生活を破壊されてきた」と語り、協力してテロ対策に当たる考えを改めて訴えた。
毎日新聞 2007年12月27日 10時39分 (最終更新時間 12月27日 11時27分)