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安心・安全ナビ:お年寄りが餅をのどに詰まらせる事故が多い。最悪の事態を防ぐには。

 ◆お年寄りが餅をのどに詰まらせる事故が多い。最悪の事態を防ぐには。

 ◇119番後に応急処置--かき出す/背中たたく/腹部圧迫

 ◇食べ方にも注意払って、講習会でスキル習得

 東京消防庁によると、昨年12月26日から今年1月3日にかけて、都内では26人がのどに餅を詰まらせて病院に搬送された。うち18人が70歳以上だった。過去6年では02年末~03年初めが最も多く34人で、うち27人が70歳以上。お年寄りが多いのは、かむ力と飲み込む力、詰まりかけた餅を吐き出す力が弱いためだ。

 東京消防庁が注意点として挙げるのは(1)食べやすいように小さく切る(2)よくかむ(3)なるべく誰かと一緒に食べる(4)水分と一緒に食べる--の4点。特に(3)については周囲が異変に気付き、119番通報や応急処置を迅速に行うことができるので有効だ。肉やパン、ご飯、刺し身、コンニャクなどによる窒息事故は一年を通じて発生しており、これらの注意点は餅だけでなく他の食べ物にも共通する。

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 のどに餅を詰まらせて苦しんでいる人(傷病者)がいたらどうすればいいか。まずは大声で助けを呼び119番することが大切だ。

 救急車が到着するまでの間、近くにいる人は餅を取り除く処置に取りかかる。東京消防庁はせき込んでいる人には、せきを促し自分で吐き出させる応急処置を勧める。詰まった餅が口から見えれば、ガーゼなどで指を包んでかき出す。次に「背部叩打(こうだ)法」。傷病者の後ろから脇の下に手を入れ、胸か下あごを支え、もう片方の手で左右の肩甲骨の間を4、5回手のひらの付け根でたたく。倒れている場合は手前に引き起こして横向きにし、自分の足で胸、片手で顔を支えながら同様に背中をたたく。

 もう一つの方法は「腹部突き上げ法」。傷病者の後ろに回って脇の下から手を前に回し、片手の握り拳をへそとみぞおちの中間に当てる。さらにもう片方の手でその握り拳を握り、体を密着させながら斜め上に瞬間的に圧迫する。内臓を傷つける恐れがあるので、この方法を実施した場合、食べ物を除去できても医療機関で受診が必要。妊婦や1歳未満の乳児には行わない。

 これらの応急処置は傷病者に反応がある場合に有効だが、反応がない場合は胸骨を圧迫するなどの心肺蘇生や、AED(自動体外式除細動器)を用いる。

 東京消防庁救急部の前田貞樹主任は「近くの消防署などで応急処置の講習を開いているので、ぜひ参加して自分や家族のために身につけておいてほしい」と呼びかける。

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 家庭の電気掃除機を使って餅を吸い出す成功例も知られている。応急処置の専門家とメーカーが共同で開発した専用ノズルも販売されている。(1)すき間ノズルに継ぎ足す塩化ビニール製専用ノズル(1本1680円)(2)細いビニールの管タイプ(1本2520円)の2タイプがある。問い合わせは(1)オカベコーポレーション(03・5966・2220)(2)アイエムジーホスピタルサプライ(03・3812・4221)。【棚部秀行】

毎日新聞 2007年12月26日 東京朝刊

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