刻々と時が過ぎる。1分、1秒の早さ。レブロン ジェイムスはしきりに時計を気にする。しかし、その時の歩みは、遅くなることも戻ることもなく、やがて、「0:00」を告げた。
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USAに課せられた使命は金メダルの奪還だった。チームは再度結集し、その目標へと向かう。
Garrett Ellwood/NBAE/GettyImages
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アンソニーを出迎えたジェイムスは、彼の肩を抱く。コートを去るアンソニーは目には涙が滲み、「終わりなのか？ 負けた気がしない」表情はそう語っていた。
試合後、シェーン バティエーーがため息まじりに振り返った。
「ビンス ロンバルディ(NFLの名)が言っていたね。『君たちは負けたわけじゃない。時間がなくなってしまっただけだ』」
「それがこの試合を表しているのかどうか分からない。でも、(時間が)足りなかった。いや、それは言えない。我々がともに与えられたのは、40分なのだから」
“Helals！ Hellas！ Hellas！”
沈んでいたギリシャの応援が賑やかになったのは、第2Q終盤。一時は、最大で12点のリードを許したが、じわり、じわりとアメリカに詰め寄ると、ついには、残り1分47秒でアメリカを捉え、39対38。以降、アメリカにリードを許すことは1度もなかった。
第3Qは、早い段階からギリシャが差を広げる。残り6分15秒で62対50となると、その差が最後までアメリカを苦しめる。3Qの終盤になって、アメリカはディフェンスのスペシャリルト、バティエーを投入。いきなりルーズボールを奪ったり、ブロックショットを決めたりと、ディフェンスから流れを作ったが、どうしても二桁の差が縮まらない。
決定的だったのは、第3Qの最後のプレー。ボールを持ったアメリカが決めれば8点差。しかしながら、ウェイドのレイアップのミスからボールを奪われると、逆に終了ブザーとともに、レイアップを決められた。
このとき、77対65。再び、12点差。
国際ルールでは、1クォーターの時間が10分。12分が染み付いたNBAの選手のエンジンのかかりが遅い。5分を切ってその差を一桁に縮めたものの、今日のFG%が63%だったギリシャのオフェンスも止められない。アメリカは徐々に追いつめられると、アンソニーの3ポイントシュート、ジェイムス、ウェイドらの1on1に頼り、オフェンスのバリエーションがなくなってしまった。
残り1分59秒、この日22点を挙げたV・スパヌリスがトップ・オブ・ザ・キーから3ポイントを沈めると94対86。ここで大きくアメリカベンチからも溜息が漏れ、勝負あった。1分を切って、4点差にまでは迫ったが、それ以上詰めることは、時間が許さなかったのだ。
試合後、ジェイムスは問われる。
「(立ち尽くす)アンソニーを待っていたね」
彼は、頷いた。
「今日は、バスケットの終わりではあるけど、世界の終わりなんかじゃない。彼は、親友の一人でもある。彼が、一人でぼろ切れのようになっているのを、見ていられなかった。これはあくまでも、いい経験と捉えたいから」