最終更新時刻:2009年6月9日(火) 10時11分
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COMPUTEX TAIPEI 2009の感想

公開日時:
2009/06/07 16:12
著者:
櫻吉 清(さくらきち きよし)

先週行われていたCOMPUTEX TAIPEI 2009の感想を書いてみます。

ワールドワイドのPC関連のトレードショーは、CES(ちょっと家電向け?)やCeBIT等がありますが、COMPUTEX TAIPEIが一番面白いと感じます。これはマザーボードやビデオカード、ODMを製造をしている台湾メーカが参加(商談?)するため、IntelやAMDがパートナーに気をつかって(?)か、COMPUTEX TAIPEI 2009で新発表を行うためでしょうか。

■Intel関係

一番面白い発表だったのが、Menlowプラットフォームの次期バージョンであるMoorestownの発表です。基本的に以前に発表されていますが、、アイドル時の消費電力が1/50となり前プラットフォームよりも落ちるのは、なかなかすごいことかも知れません。

パワーゲーティングでリーク電流をカットすることで実現しているようです。Menlowをスマートフォンに入れるのが無理がありましたが、Moorestownをスマートフォン(ハイエンドより)に入れてもは少しは使用できる製品になるかも知れませんね。

さらに、Atomの後継CPUであるPineviewが、2009年末に出るようです。しかし、ここで気になるのは、PineviewがGPUとメモリIFを持つだけで性能的に向上しないところです。消費電力や実装面積が小さくなると思われますが、それを必要としているカテゴリは、モバイルおよびスマートフォンであり、Nettop等のカテゴリではそこまで省スペースを必要としていません(価格は安くなるかも)。

IntelはPineviewでどの程度Nettopとして売りたいのでしょうか?売るために省スペースをアピールするならば、Mini-ITXより小さいNano-ITX以下のマザーボード規格になります。現時点で、Mini-ITXよりも小さいマザーボード規格は成功しているとは言えません。PineviewでMini-ITX未満のカテゴリが立ち上がるでしょうか?非常に疑問です。それよりも、NVIDIAのIONの方がNettopとして正解なような気がします。

また、CULV(Consumer Ultra Low Voltage)が発表されました。これらはAMDのYukonプラットフォーム対抗製品で、Netbookのチョイ上の薄くて安いカテゴリになります。Netbook(Atom)は、若干サイズ的に厳しいと言う人(最近は大きくなってきたけど)にはストライクな製品です。競争あるとことに発展ありと言いますから、AMDとIntelが競ってくれれば面白い製品が出てくるのではないでしょうか。

■AMD関連

AMDは、DirectX 11対応GPUを発表しました。実質は、Windows 7に合わせて年内発表のようです。AMDのGPUは、以前からDirectX 11の追加機能であるテッセレーターが入っていたため(Xbox 360のGPUから既に入っている)、開発がそれほど困難じゃなかったのかも知れません。最新IFのサポートに関しては、今回もAMDはNVIDIAの先を行きそうです。

YoukonプラットフォームのリフレッシュであるCongoが発表されました。CPUがデュアルコアに、チップセットがM780Gに変更されビデオ機能も大幅に向上しています。YoukonがHPからしか発表されていないことは気になりますが、Congoプラットフォームで一般的な使用では十分なレベルになります。後は、採用メーカが増えるかが問題でしょうか?

子会社化したGLOBALFOUNDRIES(GF)の発表がありました。ファウンドリーとして、ゲームコンソールのベンダーも興味を持ってもらっていると言うのは、面白いですね。ゲームコンソールを作っていると言えば、Microsoft、Nintendo、Sonyです。Xbox 360とWiiのCPUがIBMで製造されているため、これらメーカが、GFに興味を持っているのかも知れませんね。

■スマートブック

Netbookが成功しましたが、さらにその下のカテゴリが作ろうと言う試みが出てきました。それが、ARM系CPUを搭載したスマートブックです。これは、Netbookとスマートフォンの中間を狙った製品になります。

スマートブックは、QualcommのSnapdragon(東芝のT-01A搭載されている)を搭載した製品はいくつか出ていたようです。ARM系CPUを搭載するため、OSはWindowsではありませんが、スマートブックはNetbookのメインターゲットであるWEB(Flashも動くようですから)を見ることに関しては、十分ではないかと思います。

また、OSとしてAndroidが動いているようなので、ネットへの親和性は高いと思います。

昨今の不況を考えると、低価格であることは決して無視できない要素です。それでも、キーボードがついたコンソールは、未だにx86&Windowsが主流です。新しいカテゴリが出来上がるのでしょうか?それとも、x86の領域は不可侵なのでしょうか?今後の成り行きが気になります。

■NVIDIA関連

IONのアピールがありました。日本でもIONを搭載したマザーボードは発売されています。今後、Atom搭載製品のどれくらいが、IONプラットフォームになるか興味深いところです。ただし、Atomの後継であるPineviewは、IFが大幅に変わるため、IONプラットフォームもどうするのでしょうか?

QualcommのSnapdragonを搭載したスマートブックが発表されていましたが、NVIDIAのTegraでも同様な製品が発表されています。ビデオ機能が前面に出てきますが、Snapdragon同様にどこまで市場を発掘できるでしょうか?

■まとめ

マザーボードの祭典とも言われているCOMPUTEX TAIPEIで、Intelの次期メインストリーム向けLynnfieldを発表しなかったり少し残念です。ですが、Atomのロードマップ、スマートブック、CULVやCongoプラットフォームなどNetbook周辺カテゴリが賑やかになってきたのはいいことではないかと思っています。

世相を反映して低価格なカテゴリしか売れなくなると言うのもあるのかも知れませんが、この程度の性能で十分になってきているのもあると思います。

さて、今後はどのカテゴリが成長するか楽しみです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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