復帰１番！坂本自身初２０号！！…セ遊撃最年少２２歳

３回無死、坂本が左越えに２０号ソロを放つ

　◆巨人８─６横浜（１３日・東京ドーム）　激しく回転した。バットが坂本の体に巻き付くように出てくる。快音を残したライナーが、あっという間に左翼ポール際最前列に飛び込んだ。「うまく体を回転させて打つことができました」。勢いよくダイヤモンドを回ると、笑顔がはじけた。

　記録ずくめの一発は、得意の内角打ちで決めた。同点の３回先頭。初球、ひざ元に食い込んでくる加賀のシュートに、全身が反応した。一時は勝ち越しとなる２０号ソロ。目標に掲げていた２０本塁打に初めて達したが、「今は数字を意識していません。シーズン後に改めて考えたい」と冷静に前を向いた。しかし、２２歳になるシーズンで２０号到達はセ・リーグ遊撃手最年少。巨人でも遊撃手では二岡智宏（現日本ハム）以来、球団２人目の快挙となった。

　天才的なバットさばきには、先輩たちも舌を巻いている。谷が「ミート力は持って生まれたもの」と評価すれば、今季打率３割をキープしている脇谷にいたっては、勇人の打撃練習をあまり見ないという。「内角のさばきがうますぎて、見てると自分が嫌になってくる」と苦笑いで賛辞するほど。天性の打撃センスに努力を積み重ね、２０号の大台に乗せた。

笑顔でナインとハイタッチ

　だが、あふれる才能を持つだけに、原監督の要求はより高くなる。不調で最近２試合は８番に降格していたため、この日は３試合ぶりの１番復帰戦だった。「ホームランはホームランでしたけど、ほかの内容が悪すぎる。あれでは二流打者ですよ。きちっと階段をのぼっている（レギュラー奪取から）３年目で、本人も踏ん張りどころですね」。一発よりも凡退した４打席を指摘し、さらなる奮起に期待を寄せた。

　本人も理解している。「あの打席はしっかり自分の形で打てた」と試合後に振り返ったが、節目のアーチを放ったとは思えないほど、表情は硬かった。欲しいのは本塁打ではない。リードオフマンとして最もこだわる出塁のため、ボールに食らいついていく。