ヤンキースタジアムの拍手と大歓声で甦った松井！６８打席ぶり１１号

　◆ヤンキース２―１０エンゼルス（２０日・ニューヨーク）　ゴジラが暴れる舞台は、やはりニューヨークがふさわしい？　エンゼルス・松井秀喜外野手（３６）が古巣のヤンキース戦で、約１か月ぶりとなる１１号２ランを放った。

　大好きなヤンキー・スタジアムの雰囲気が、背中を押してくれた。４点のリードで迎えた７回２死一塁。今まで８度の対戦で、無安打に抑えられている朴贊浩のチェンジアップをとらえた。右翼スタンドへの一撃は６月２６日以来、出場１７試合、６８打席ぶりの１１号。４月１５日に続き、ヤ軍戦今季２本目のアーチだ。この試合前まで７月は打率１割９分。古巣で息を吹き返した形だ。

　スタメン発表時。ベンチで松井は耳を疑ったという。今季２度目の凱旋にもかかわらず、名前がコールされると温かく大きな拍手と歓声が響き渡った。第１打席に入った時もしばらく拍手は鳴りやまない。「予想していませんでした。本当にうれしかったですね。ファンのみなさんには感謝しています」。７年間、ニューヨークのこの場所で愛された証しだった。

　打撃不振の原因は、古傷の両ひざではない。問題はボールの見極めにあった。後半戦に入ってから、反省の弁は「打つべき球じゃなかった」がほとんど。厳しい球をファウルでしのぎ、甘い球を呼び込み逃さず打つのが好調時のスタイル。しかし、最近は甘い球の打ち損じや、打ち急いで、チェンジアップを直球のタイミングで空振りする打席が目立っていた。

　この日の本塁打の打席に限っては“らしさ”が復活。甘く入ったチェンジアップを見極め、しっかりととらえた。「（打席での違和感を）感じている時もあるし、違和感が少ない時もある」。まだ試行錯誤の中での一発だが、復調への手がかりには違いない。

　メジャー移籍以降、７月は３２本と本塁打数が最も多い。今年は出場１４試合目で、ようやく１本目が出た。アーチが飛び出した試合は７連勝（８勝３敗）と、チームの白星に直結している。首位レンジャーズとは５ゲーム差。２２日からの直接対決４連戦を前に少しでも差を縮めたい。それは“夏男”のバットにかかっている。