松井秀１１号も、９回好機「打ち損じ」８連勝ならず

　◆ヤンキース４―８マリナーズ（２日・ニューヨーク）　ヤンキース・マリナーズ戦に出場した日本人３選手がマルチ安打のそろい踏みだ。「７番・ＤＨ」のヤ軍・松井秀喜外野手（３５）は６月１４日以来１５試合ぶりの１１号２ランに二塁打。６月３０日にトレードで加入したライバル、ヒンスキーの前で意地を見せた。マ軍のイチロー外野手（３５）は、今季３度目の失策をしたが、２点二塁打を含む４打数２安打。６番で先発出場した城島健司捕手（３３）も２試合連続のマルチとなる２安打を放った。

　力ない飛球が中堅へ上がると、ヤンキー・スタジアムは大きなため息に包まれた。４点を追う９回、無死一、二塁。逆転への期待を松井は一身に背負っていた。右腕アーズマの１０球目、カウント２―３からの真ん中低めの直球をとらえられずゴジラは唇をかみしめた。

　「最後は甘く入った直球だったけど、打ち損じた」。２球で追い込まれた後、ファウルを４球打ちながらフルカウントまで持ち込んだ。しかし、マスクをかぶった城島が「四球は絶対にいけない。真ん中に真っすぐですよ」と苦しまぎれにリードした球をミスショット。後続も倒れ、チームの連勝は７でストップした。

　その場面で１本打てていれば、殊勲は背番号５５のはずだった。２回、１死三塁で１点差に迫る右犠飛（記録は犠飛と失策）。４回には２死一塁から左腕バーガスの真ん中低めスライダーを右翼席へ運んだ。「若干詰まったが、いい角度で上がってくれた」。６月１４日のメッツ戦以来、２８打席ぶりとなる１１号２ランで劣勢のチームを鼓舞。パイレーツから移籍した同じ左打ちのライバル、ヒンスキーの目の前で、存在感を見せつけた。７回には先頭で右翼線二塁打。「いい反応だった」と振り返る、直球を待ちながら低めのスライダーを拾った自画自賛の打撃で好機を演出した。それでも、最終打席の結果が喜びを半減させた。

　松井にとって７月最初の試合で２安打３打点の幸先いいスタートを切った。６月３０日、決勝点を呼ぶ貴重な二塁打を放ちながら、翌日は欠場。首脳陣は当面、守備に就かせる考えはなく、出場はＤＨ専門。しかし、その座も主力に休養を与えるという理由で安泰ではない。上昇のきっかけをつかみつつあっても、それを試合でコンスタントに出し切れない難しい環境の中、結果を出した。

　「きょうみたいな日を続けなくてはいけない。続けていけば、状態は全体的に良くなってくる」。松井は歯を食いしばり、自身に追い風が吹く日を待ち続ける。