松井秀、第２戦Ｖ弾再現だ！ペドロ斬りで世界一へ

　【ニューヨーク】ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）が宿敵をたたいて、チームを９年ぶりの世界一へ導く。日本時間５日、フィリーズとのワールドシリーズ（ＷＳ）第６戦にＤＨで先発復帰する松井は本拠地で打撃練習をした。フ軍先発のＰ・マルチネス（３８）はメジャー１年目から打率１割４分３厘と苦しめられた相手。因縁の投手を攻略し、世界一へと駆け上がる。ヤ軍契約最終年。最後の可能性もあるピンストライプを着て、有終の美で飾る。

　悲願の世界一は、思い出の詰まったニューヨークで決める。本拠地での今ＰＳは６勝１敗。決戦を翌日に控え、松井は「ホームの成績はいいですから、我々にとってはプラスになる」と地元ファンの声援を力に変え、一緒に最高の瞬間を分かち合う。

　松井への期待の表れだった。ジラルディ監督の前日会見。米メディアが真っ先に質問したのはＤＨで先発復帰する松井のことだった。指揮官は「マツイの復帰はとても大きい。勝負強く、貴重な安打、本塁打を打ってきた」と第３戦から第５戦の敵地で、代打で３打数２安打、１本塁打と成績を残した背番号５５に全幅の信頼を置いている。

　宿敵を打って決める。フ軍先発はＲソックス時代からヤ軍と数々の因縁を残してきたＰ・マルチネス。松井は０４年のリーグ優勝決定シリーズでマルチネスに浴びた１球のビーンボールがきっかけで、それまで２２打数１１安打だった勢いが止まり、その後は１２打数２安打と不振に陥った。チームにもそれが影響し、３連勝の後、４連敗。ＷＳ出場を逃した。

　「ペドロ（マルチネス）とはいろんな歴史がありますが、相手が誰であっても一緒です」と第２戦で難しいカーブをとらえ決勝アーチ、苦手意識はない。いつもと変わらない打撃を心がけて、好敵手を苦い思い出とともに粉砕する。

　０３年、劇的な本拠地デビュー戦での満塁弾から始まった松井のピンストライプの軌跡。もしかしたら、次の試合が最後になるかもしれない。だが、その思いは封印する。「第７戦を考えながら戦うことはない。明日勝って、ワールドチャンピオンになる」。夢の実現まであと１勝。歓喜の瞬間はもうすぐだ。