松井にバーニーがダブる！　２打点でヤ軍勝利に導いた…ア優勝決定Ｓ第１戦

エンゼルス戦の５回、この試合２本目の適時打となる左中間二塁打を放つ松井（共同）

　◆ア・リーグ優勝決定シリーズ第１戦　ヤンキース４―１エンゼルス＝７回戦制＝（１６日・ニューヨーク）　ヤンキースはア・リーグ優勝決定シリーズの初戦で、エンゼルスにホームで４―１と先勝、今プレーオフ無傷の４連勝を飾った。ヤ軍の「５番・ＤＨ」で先発出場した松井秀喜外野手（３５）は、初回に幸運な適時打を放つと、５回にはチーム３点目となる適時二塁打と、２安打２打点を挙げた。ナ・リーグはドジャースが地元でフィリーズを２―１で下して１勝１敗とした。日本時間１９日の第３戦は、黒田博樹投手（３４）が敵地で先発する。

　スタジアムを熱狂のステージに変えた。２―１で迎えた５回１死一、二塁。松井はエ軍先発ラッキーの８８マイル（約１４１キロ）のチェンジアップに反応した。「体重が残っていたので、泳ぎながらもうまく打てました」。外角の球を流し打ち、左中間へ貴重な適時二塁打をはじき返した。試合開始時の気温は７度。今季、新ヤンキー・スタジアムでは一番の冷え込みも、観客は寒さを忘れて塁上の５５番に声援を送った。

　上空の冷たい風はヤ軍と松井には暖かかった。Ａロッドの犠飛で１点を先制した直後の初回２死二塁。最初の打席はポップフライだった。「走っていたら、“ポトッ”って落ちました」。三塁のフィギンスと遊撃のアイバーがお見合い。打球はアイバーの目の前に落ち、二塁走者が生還。強風と大歓声を味方につけた適時打で主導権を握った。

　“ミスター・ダブル”の襲名だ。５回の二塁打は、リーグ優勝決定シリーズ通算１０本目となり、Ｂ・ウィリアムスに並び、わずか１５試合で同シリーズのメジャー最多。０３、０４年を含め、同シリーズは通算６３打数２４安打、打率３割８分１厘。ポストシーズン４５試合目で打点は３０に届いた。

　「楽しむ」と臨んだ試合も打席に入れば、その思いは消えていた。「打席に入ったら、どんな時でも『この投手をどう打とうか』と考えてしまう。『自分の好きなように打とう』と思うことは生涯来ることはない」。この日も「楽しむ」ことを捨て、体に染みついたチームバッティングを優先させた。昨年、８６年の歴史に幕を閉じた旧ヤンキー・スタジアム最後の打席でも、投手の攻略に思考を巡らせていたという。

　今プレーオフでは、ポストシーズンに弱かった４番のＡロッドもつなぐ意識が見える。その結果、打率４割６分２厘、７打点と４連勝に貢献。チーム史上最多のシーズン２４４本塁打を放ったスラッガーたちがつなぐ打撃を見せて、０２、０５年に地区シリーズで敗れたエンゼルスに先勝。「相手が強いのは間違いないけど、プレーオフだし、誰も気にしていないと思う」。悲願の世界一へ大きな一歩を刻んだ。

　◆Ｂ・ウィリアムスとは　○…プエルトリコ出身のバーニーは、９１年から０６年までヤンキース一筋でプレーした両打ちの外野手。９８年に首位打者を獲得するなど通算２０７６試合に出場、打率２割９分７厘、２８７本塁打。ゴールドグラブ賞も４度受賞した。４度のワールドシリーズ優勝に貢献するなど、ポストシーズンでは通算１２１試合に出場し、歴代最多の８０打点をマーク（１２８安打、２２本塁打は歴代２位）した。