松井６４５日ぶり守った！開幕左翼へ大きな一歩！

ドジャース戦の１回、６４５日ぶりに守備についたエンゼルス・松井は、打球の行方に反応し機敏な動きを見せた

　◆オープン戦　ドジャース２―４エンゼルス（２２日・米アリゾナ州グレンデール）　エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）が、ドジャース戦に「４番・左翼」で先発出場。０８年６月１５日のアストロズ戦（ミニッツメイド・パーク）以来、６４５日ぶりに守った。守備機会は一度もなかったが、念願の外野復帰を果たし、「これが普通だったんだな。守備ができて良かった」と喜んだ。シーズンでの外野復帰に大きく前進した。

　ベンチを飛び出し、慣れ親しんだ場所へ向かった。１回裏。松井は左翼へ走った。約１年９か月ぶりの外野復帰。当たり前だったベンチとの往復が、新鮮でうれしかった。「やっぱり、これが普通だったんだなって気がしますね」。定位置につき、芝生の感触を確かめると、笑みを浮かべた。

　４イニング守り、ボールの行方を追った。「１球、１球に集中してやることだけを考えていました」。内野ゴロのカバーに素早く反応。投手が投げるたびに体を動かし、打球に備えた。打者１６人、あいにく守備機会はなかったが、「とりあえず守備ができて良かった」とひとまず安心した。

　今年は外野に戻りたい―。松井はずっとこの言葉を口にして、自分を鼓舞してきた。「ＤＨは自軍が守備の時、ベンチ裏に下がって次の打席に備える。それはグラウンドから目を離すことになるから、次に打席に入るとき、気持ちの持っていき方が難しいんだよ」

　守備へのこだわりは、試合の雰囲気を肌で感じ、緊張感を維持したいからだ。ベンチ裏に下がらず、集中力を保っていれば、打撃にも良い影響が出る。そう信じている。０８年６月１５日以来の守備を楽しみ、「やっぱり、グラウンドを離れることがないので、やりやすさがありましたね」と自分の感覚に間違いがないことを確認した。

１回２死二塁、中前に先制タイムリーを放つ松井（共同）

　松井が交代した直後の５回、２度続けて左翼にボールが飛ぶ“不運”もあった。ドジャースのトーレ監督に「わざと（左翼に）打たないようにナインに言ってくれたの？」と軽口をたたくと、ヤ軍時代の恩師は「そうだ。シーズン中は（左翼を）狙わせるよ」とジョークで応戦。２人は笑い合い、守備の復帰を喜んだ。

　守備への期待感があったのか、気分良く打席に入り、１回２死二塁、中前へ先制の適時打を放った。エ軍・ソーシア監督は今週中に再度、外野での起用を明言した。オープン戦ながら、両ひざへの負担を感じさせなかったことで、シーズンの左翼復帰に一歩、前進した。開幕まで２週間。完全復活が見えてきた。

　◆松井のひざ痛と守備　０７年に１１２試合で外野を守ったが、同１１月に右ひざを手術。左ひざ痛が悪化した０８年は、外野出場は２３試合にとどまり、初めてＤＨ出場（６６）の方が多くなった。同９月に患部を手術。０８年６月１５日、アストロズ戦に左翼でフル出場したのを最後に、昨年は守備機会がなかった。