松井秀、孝行初マルチ！完全復活間近！

　◆ヤンキース５―３アスレチックス（２１日・ニューヨーク）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３４）が今季初のマルチ安打を放った。アスレチックス戦に「７番・ＤＨ」でスタメン出場し、スタンドで父・昌雄さん（６７）ら家族が今季初観戦するなかで３打数２安打１四球。１打席目に流し打ちの左翼線二塁打で先制点をおぜん立て。４打席目では中前へはじき返すなど、打席で柔らかさと力強さを見せつけた。１割台だった打率も２割３分５厘にアップ。少しずつ、復調の兆しが見え始めた。

　軽やかにベンチを飛び出し、松井は勝利の儀式へ向かった。快勝に沸くニューヨーカーの歓声をＢＧＭに、ジーターらと勝利のグータッチを交わす。今季初のマルチ安打が勝利に結びつき、５５番からは白い歯が自然とこぼれた。

　２回無死一塁の第１打席。「うまくおっつけて、反対方向に打てました。あれを引っ張ろうとすると失敗する」ア軍先発左腕エイブランドの外角へ逃げるカーブを、三塁線へ流し打って二塁打。昨季序盤にア・リーグ打率トップを走っていた頃のようなうまさが光る打撃だった。

　力強さもあった。７回の４打席目ではカシーヤの１５３キロの直球を力で中前へ打ち返した。左ひざに痛みを抱えながらも、軸足にかかる体重をうまくコントロールして打ち分けた。「柔」と「剛」を兼ね備えた打撃に復調の気配が漂った。

　スタンドから注がれた温かい視線と拍手にも応えた。新球場では初観戦となった両親と兄夫妻が見守る中で３度も出塁。ナイター前に昼食をともにした昌雄さんは、「今はＤＨが続いていますが、前みたいに守備にもつけるシーズンになってほしいですね」と、カルシウムたっぷりの故郷の海産物を土産で渡し、“鉄人復活”を願った。

　患部に先週、消炎剤の注射を打ち、痛みや腫れは治まっている。規制されていた強めのダッシュを試合前に行うなど、ひざは順調に回復。「今までやりたくてもできなかったことができる状態になった」２回には単打で二塁から激走し、２点目の本塁を踏んだ。「打撃の調子が上がってきた」とジラルディ監督も期待する。ホームのファンは開幕戦（６日・対オリオールズ）以来見ていない豪快な一発、本拠地初アーチを待っている。