松井秀、誕生日２年連発！…ヤンキースは相手落球でまさかのサヨナラ勝ち！

　◆ヤンキース９ｘ―８メッツ（１２日・ニューヨーク）　ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）が２年連続のバースデー弾を放った。メッツとの“サブウエー・シリーズ”に「７番・ＤＨ」で出場。６回、左腕・スウィッツァーから逆転の９号３ランを右翼に運んだ。昨年はアスレチックス戦で満塁本塁打の“祝砲”を打ち上げたが、この日も豪快に決めた。その後、いったんはメッツに再逆転を許したものの、９回に相手の失策でサヨナラ勝ち。神様からの大きなプレゼントに、ゴジラは笑顔だった。

　バースデーゲームは、思いもよらない結末を迎えた。１点を追う９回、２死一、二塁でロドリゲスの飛球を、ゴールドグラブ３度受賞の二塁手・カスティーヨがまさかの落球。二塁走者に続き、一塁走者がサヨナラのホームに滑り込むと、松井はベンチを飛び出して歓喜の輪に加わった。

　「野球は本当に何があるか分からない」。３５歳の誕生日を祝うような劇勝を、背番号５５は自身のバットでも彩った。２点をリードされた６回、１死一、二塁。カウント０―２からスウィッツァーの投じた真ん中直球をとらえ、右翼２階席に運んだ。

　「甘く入ってきた球をしっかり打てた。試合の展開の中でも、いい本塁打だったと思う」。１年前はアスレチックス戦で決勝の逆転満塁本塁打。２９打席ぶりの９号３ランは、２年連続のバースデーアーチとなった。

　同じニューヨークを本拠にするメッツ戦は相性抜群だ。通算打率３割２分７厘、８本塁打でアーチは３年連続。今季の９本塁打中５本、２６打点中１５点をマークしている左腕からの一発で、メジャーで対戦した投手の“１００人斬り”を達成、早くも昨季の本塁打数に並んだ。

　試合前は慌ただしかった。前夜、ボストンからの移動の飛行機が悪天候で遅れ、自宅到着は午前４時過ぎ。それを考慮して、この日の集合時間は試合開始２時間前の午後５時に設定されたが、松井がクラブハウスに現れたのは集合時間の１分前だった。あわやミーティングに遅刻という状況の中、仲間から祝福の言葉を受けながら、忙しくケージに向かって何とか準備を整えていた。

　「特別、感じるものはない。世代が（４０歳に）変わる頃には感じるかもしれないけど」。年齢に関する感慨はない。しかし、連続試合出場を続けていた頃とは事情が違うことも冷静に受け止めている。整体師を自宅に呼び寄せるなど、体のケアには若い時以上に気を使っている。

　２試合連続でマルチ安打を決め、今度は一発。どん底だった状態から調子を上げつつある。「明日もバースデーだったらいいのにな」とジラルディ監督の表情も緩んだ。昨年は誕生日の直後に左ひざを痛め、故障者リスト入り。「今年はそういうことのないようにしたい」。契約最終年だけに離脱すれば終わり、と慎重に慎重を期している。

　会見で「ある人が祝ってくれるようになってから２年連続で…」と報道陣から愛妻の存在を示唆されると、「ありがとうございました」と質問を遮った。その表情に浮かんだ笑みが、完全復活を予感させた。

　◆０８年６月１２日ＶＴＲ　敵地（オークランド）でのアスレチックス戦、１点を追う６回無死満塁で、カウント１―１から右腕ブラントンの１２９キロ（８０マイル）のチェンジアップを右中間席へ運んだ。２１打席ぶりとなる７号満塁本塁打でチームを勝利に導いた。メジャー移籍後初のバースデーアーチに、「今まで誕生日にこんないい試合だったことは記憶にない」と興奮。

　◆巨人時代は１４３人　松井が巨人時代に放った本塁打は３３２本で、１４３人の投手からマーク。最も多くのアーチを打った相手は横浜・斎藤隆（現Ｒソックス）の１３本。次いで広島・高橋建（現メッツ）で１０本塁打。くしくも現在、メジャーに在籍している投手からが多い。