松井秀、最速１０号！３１発の０４年上回る２１３打席目

　◆ヤンキース１５―０メッツ（１４日・ニューヨーク）　　ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）が、２年ぶりの１０号本塁打を放った。メッツ戦に「７番・ＤＨ」で、４回にサンタナから２ラン。チーム６３試合での２ケタ到達は０４年に次ぐペースで、２１３打席目は７年で最速。２年前、浮上のきっかけとなったサイ・ヤング賞左腕打ちで、完全復活の気配を見せた。高橋建投手（４０）は７回途中から登板し、１回２／３を無失点に抑えた。

　乾いた打球音に、ヤンキー・スタジアムを埋めた約４万８０００人が、フェンスオーバーを確信した。４回、無死一塁。２度サイ・ヤング賞に輝いたサンタナから右中間席へアーチをかけた松井は、大またで悠然とダイヤモンドを一周した。

　「いいスイングができた。チームにとっても大きかったと思うし、いいところで出た」。カウント１―２からの９０マイル（約１４５キロ）だった。直球をとらえた１０号２ランが左腕から平常心を奪った。この回、松井からの６連続安打などで、メ軍の息の根を止める９得点。１５点以上を奪っての完封勝利は７７年以来、チーム３２年ぶり。背番号５５が歴史的大勝の火付け役となった。チーム６３試合（出場５６試合）での１０号到達は自己最高の３１本塁打を放った０４年の５３試合に次ぐ早さ。２１３打席目は同年の２２７打席目を上回る最速記録となった。

　サンタナからの一発は０７年７月４日以来。２年前はそこからアーチを量産して、１３本塁打で月間ＭＶＰを獲得した。当時の記憶は鮮明に残っている。「あの時はスライダーだった。（当時と）比べるのは難しいが、状況は似ているといえば似ている。悪くて、少しずつ良くなっていく途中。今回もそうなればいい」。最高年俸（約１８億円）左腕からの一発は浮上への吉兆だ。

　最大の懸念材料も解消されつつある。試合前には制限されていた本格的な守備練習に取り組んだ。「今年はバッティングの状態のいい時期が長続きしない。足の影響もあるかもしれない」としていたように、下半身の強化を阻む故障個所への不安もなくなりつつある。

　左方向に２安打したＲソックス戦できっかけをつかみ、１２日の誕生日に自ら祝砲を上げた。「ボストンぐらいから徐々に状態が上がってきている気はする。バランスとか、ボールの待ち方とか少しずつ良くなっている」。間を置かずに再び一発を放ち、「まだバースデーが続いてるな」とジラルディ監督もジョークを飛ばして喜んだ。不振に苦しんだ松井に、ようやく光明が差してきた。