ライバル加入で燃えた！松井二塁打から逆転

　◆ヤンキース８―５マリナーズ（３０日・ニューヨーク）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）が今季初のマリナーズ戦で決勝点の口火を切った。「７番・ＤＨ」で１０試合ぶりに先発出場。同点の８回、２６打席ぶりの長打となる右中間二塁打で好機をつくり、後続の決勝打を呼んだ。

　鋭い打球が右中間を破った。同点の８回。先頭で打席に立った松井のバットが右腕・ホワイトの真ん中低め、９３マイル（約１５０キロ）直球をとらえた。二塁に到達して代走を送られたが、背番号５５の安打を起点に４連打。３点を勝ち越したチームは、９回を守護神・リベラが抑えて逃げ切った。

　「しっかり振り切って、いい打球が飛んだと思う。それまでいいところで打てなかったが、勝ち越しのきっかけになるヒットを打ててよかった」。好機に凡退を重ねていた。失策で先制点につながったものの２回、無死一、二塁で当たり損ねの三ゴロ。同点の５回、２死満塁では一ゴロに倒れた。迎えた第４打席。右腕の代わりはなを叩いた一撃は打線に勢いをつけた。

　少しだけ、うっぷんが晴れた。ＤＨの使えないナ・リーグ本拠地の交流戦９試合では１日１打席しか与えられない代打生活を味わった。この日、１０試合ぶりに先発復帰。「やっぱり代打よりはいい。当然だけど、選手としてはプレーしたい。打席を重ねるうちに慣れは出る」。６月２０日以来の安打が留飲を下げてくれた。

　長打は１０号２ランを打った１４日のメッツ戦以来、２６打席ぶり。「親孝行？　かどうかは分からないが、喜んでくれればうれしい。はるばる遠くから来てるわけだからね」。久々の快打は、観戦に訪れた父・昌雄さんへ最高のプレゼントになった。

　この日、チームはマイナー２選手と交換に、パイレーツからエリック・ヒンスキー外野手（３１）を獲得した。ブルージェイズ時代の０２年に２４本塁打を放ち新人王。０７年Ｒソックス、０８年レイズと２年連続ワールドシリーズ出場に貢献。同じ左打ちのメジャー通算１０６発の中距離砲だ。一、三塁、外野を守れ、ＤＨでも起用されてきたヒンスキーの加入で、また競争相手が増えた。主力が休養でＤＨに入るケースもあり、限られたチャンスの中で結果を残すことが今まで以上に要求される。

　「フラストレーションがたまってるのは分かっていたし、ヒットが出たのは私にとっても大きい」。ジラルディ監督はうなずいた。指揮官の信頼を揺るぎないものにするためにも、松井には止まっている時間はない。