松井秀２発！４番で「今年一番の試合」　イチローは松井弾つかみ損ね「つまんない」

　◆マリナーズ１―１１ヤンキース（１３日・シアトル）　ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）がマリナーズ戦で、５月２７日のレンジャーズ戦以来、今季２度目の２本塁打を放った。３回に１８号２ラン、８回にはマ軍・イチロー外野手（３５）の差し出したグラブの先を越える１９号２ランを右翼席にたたき込むなど、今季最多の４安打５打点と大暴れ。これで、今季の本塁打生産率は１６・６打数に１本と渡米後最高ペースとなった。

　とどめの一撃は９―１で迎えた８回だった。２死一塁から松井が、２番手左腕オルソンの低めのスライダーをフルスイング。右翼スタンドへ向かって飛んでいった打球を、イチローがフェンスに右手をかけて飛びつく。「お願い、やめて！と思いながら走った」という松井の思いが通じた。打球は８年連続ゴールドグラブ賞を獲得した名手のグラブをかすめ、ファンの差し出すグラブに収まった。３回に１８号２ランを放った背番号５５が、５月２７日のレンジャーズ戦以来、今季２度目の１試合２ホーマーで勝利を決定づけた。

　前日の試合で死球を受けたＡロッドに代わり、５月７日以来の先発４番に座った。第１打席で左前安打。３回１死三塁ではスネルの内角低めスライダーを、ライナーで右翼席へ運んだ。７回無死一、二塁で左腕オルソンから直球を右前適時打。２発を含め、今季最多の４安打５打点の大爆発に、ジラルディ監督が「マツイの夜だった」と絶賛。ニューヨークの地元テレビ局「ＹＥＳ」も、敵地では珍しいグラウンドでのインタビューを行った。時差で３時間進んでいる深夜の東海岸に松井の笑顔を伝えた。

　これで今季の本塁打率は１６・６打数に１本で、渡米後最高となるペースとなった。２年目の０４年以来、メジャー２度目の３０本塁打も夢ではなくなってきた。「４番や５番は塁に走者がいて回ってくることが多い。やはり打てばこうやって打点が増える。きょうは典型的な試合」。かつて“打点マシン”の異名をとった松井らしく、振り返った。

　この日も試合後、両ひざをアイシングする姿があった。そのため、ＤＨか代打での出場に限定されているが、「（状態が）良かったり悪かったりはあるけれど、幸い打つことには影響ないから大丈夫」と笑顔。指揮官も「体が万全であれば安定した力を発揮してくれる」と信頼を口にした。

　今季限りでヤ軍との４年契約が満了するが、ＤＨとして獲得への興味を持つマリナーズのフロント陣の前で猛打を披露した。「ボクにとってもチームにとってもいい一日になりました。今年一番のいい試合だったかもしれないですね」。Ｒソックスとのゲーム差は再び６・５。チームの３年ぶりの地区優勝、そして自身初の世界一へ、松井は打ち続ける。

　イチロー外野手「いけた（捕れる）、と思いました。少なくともチャンスは十分あった。（一方的な展開で）守っていて、あれくらいしか楽しみがなかったので…それ（スーパーキャッチ）用にちょっと深めに守っていたのに、つまんない。打ったバッターも、守っている人も見せどころが分かっていたのに、ファンが分かっていなかった」

　城島捕手「２本ともうまく打たれました。インサイドの、松井さんが好きな所にボールが来た。甘い球をミスショットしないのが、バッターとして一番、大事ですからね」

　［松井一発アラカルト］
  ▼本塁打率最高　本塁打１本に要した打数（本塁打率）は１６・６で、３１本を放った０４年（１８・８）を上回り、渡米後最高ペース。今季のヤ軍では２１本のＡロッド（１４・２）、２９本のテシェーラ（１５・１）の両主砲に迫る勢いだ。
  ▼左腕はカモ　８回、オルソンからの一発で今季対左腕１０本目。過去最多は０５、０７年の８本だった。今季は左腕投手からの量産が目立っている。
  ▼０４年には１試合６打点　１試合最多記録は安打５（０７年７月２２日）、本塁打２（４度目）、打点６（０４年８月６日）。２本塁打を含む４安打５打点という３部門そろっての“固め打ち”は、渡米後初めてだ。