マツイはＭｒ．オクトーバー！元祖Ｒ・ジャクソン氏が太鼓判

　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）が「ミスター・オクトーバー　２００９」になる。ヤ軍は６日、７日開幕の地区シリーズを前にヤンキー・スタジアムで最終調整。チーム特別アドバイザーで元祖「ミスター・オクトーバー」のレジー・ジャクソン氏（６３）は、勝負強い松井のプレーオフでの活躍に期待をかけた。対戦相手は、ア・リーグ中地区優勝決定戦で延長１２回の末、タイガースにサヨナラ勝ちしたツインズに決まった。

　いるべきところに戻ってきた。「２年ぶりですから。久しぶりの感じはしますね」。松井は独特な雰囲気を感じ取った。ルーキーだった０３年にはワールドシリーズ出場。０７年まで５年連続でポストシーズンを経験したが、昨年はプレーオフに出られなかった。「悔しさは覚えている。けど、過去は振り返らない」と言い切った。目の前にある世界一の称号だけを追い求め、０９年のポストシーズンに挑む。

　６日の練習では打撃の練習に時間を割いた。公式戦最後の５試合で１７打数２安打とバットは湿りがち。それでも「ここ数日よりいい状態で入れると思う」と快音を響かせた。ケージの外には７７年のワールドシリーズで１試合３打席連続本塁打の快挙を演じ、「ミスター・オクトーバー」と呼ばれたジャクソン氏が背番号５５に熱い視線を送っていた。

　メジャー通算５６３ホーマーで殿堂入りもしているジャクソン氏は、打撃のキーマンに松井を指名した。「マツイは勝負強いバッターで、今年もたくさんの素晴らしい打撃でチームに勝利をもたらした。価値ある安打、本塁打をプレーオフでも打ってくれる」と断言。ポストシーズン通算４１試合で打率３割２厘、６本塁打、２６打点と勝負強さを発揮していることから、「マツイは“ミスター・オクトーバー　２００９”になるチャンスが十分にある」と自身の代名詞を用いて、活躍に期待を込めた。

　チームの９年ぶり２７度目の世界一へ―。最初の相手は優勝決定戦で延長１２回にサヨナラ勝ちしたツインズに決まった。松井は「自分の準備をするだけです」と相手への意識はない。今季はツ軍に７戦全勝も、「２年前もインディアンスに６戦全勝だったけど負けた。プレーオフは１試合で大きく形勢が変わる。１勝の意味は大きい」と苦い記憶を教訓とする覚悟だ。自身初のチャンピオンリングを目指す本当の戦いが、いよいよ幕を開ける。

　◆ミスター・オクトーバー（Ｍｒ．Ｏｃｔｏｂｅｒ）１０月に行われるプレーオフの大舞台に強い選手の代名詞。その代表がポストシーズンで通算１８本塁打したＲ・ジャクソン氏。左打ちの外野手として通算２８２０試合に出場し、５６３本塁打。本塁打王４度、打点王１度を獲得し、殿堂入りも果たした強打者だ。アスレチックス時代にはＷシリーズ３連覇し、７３年にＭＶＰに輝いた。ヤ軍移籍１年目の７７年、すべて初球をたたいての１試合３発を含めシリーズ新の５本塁打。このニックネームが定着した。また９８年から００年にヤ軍がワールドシリーズ３連覇を達成した時には、ジーターにもその代名詞が使われた。