世界一のヨカ～ン！松井開幕弾…プレーオフ第１戦

　◆プレーオフ第１戦　ヤンキース７―２ツインズ＝５回戦制＝（７日・ニューヨーク）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）が２ランで勝利に貢献した。プレーオフの地区シリーズが開幕。ツインズとの第１戦に「５番・ＤＨ」で先発し、２点リードの５回、２番手左腕リリアーノから試合を決める一発を中越えに放った。ポストシーズンでの本塁打は０５年１０月７日（地区シリーズ、エンゼルス戦）以来、通算７本目。ナ・リーグはフィリーズとドジャースが先勝した。

　右翼上部の星条旗が、中堅方向に揺れていた。松井の予感は確信に変わった。２点リードの５回２死一塁。「最後は風のひと押しがあったと思います。強く振れましたね」。リリアーノの９３マイル（１５０キロ）の直球をとらえた打球は、大歓声と追い風に乗ってバックスクリーンへ消えた。４年ぶりとなるプレーオフでの一発。今季最多、４万９４６４人の視線と喝さいを全身で受け止めた。

　試合を決めた一発の背景には、２つの好条件があった。まず、左腕投手が相手だったこと。シーズン２８本塁打のうち１３本を左投手から稼いだ。５度出場したプレーオフでも７本のうち４本。「レフティー・キラー」はプレーオフでも健在だ。

　エースが登板していたのが次の条件。８月に３度あった１試合２本塁打のうち、２度がサバシアの登板日だった。シーズン中は２８発のうち１０本塁打でエースを援護。「私が投げると、いつも彼は打ってくれる。先発した３０試合で、たぶん２５回は打っている」。７回途中２失点で勝利投手になった１９勝左腕は、わざと試合数を間違える冗談を交えて松井を絶賛した。

　今季、ヤ軍は本拠地で１３６本塁打を放ち、球団記録を１０本更新した。右翼方向までの距離が短い球場は左打者に有利とされ、Ｒソックスのフランコーナ監督が「うちの球場なら右飛だった」と嘆いたこともあった。

　松井は１３本を本拠地で放った。球場の形状に助けられた一発は、ほとんどなかったという。「１本くらいはあるかもしれないけど、（球場が）有利に働いたと感じたこともない」。力で運んだという自負がある。「自分の力が衰えていると思わない。（痛めた）ひざさえ大丈夫ならやれる」。自信満々に言い切ったのは３月。言葉に偽りがないことを証明した。今年初めて中堅から左の方向へ描いたアーチは、風の力だけではなかった。

　ジラルディ監督は「素晴らしい本塁打だった。だから、うちのＤＨはマツイなんだ。今後も起用し続けるよ」と松井の勝負強さを称賛した。エースが投げ、ジーター、Ａロッド、松井ら主力が打点をマーク。最後は守護神・リベラが締めた。最高の形で世界一への一歩を踏み出した。