松井秀３連勝で５年ぶり地区Ｓ突破「大きな山だった」

　◆プレーオフ第３戦　ツインズ１―４ヤンキース＝５回戦制＝（１１日・ミネアポリス）　ヤンキースはツインズを４―１で下して３連勝、５年ぶりに地区シリーズを突破した。「５番・ＤＨ」で先発出場した松井秀喜外野手（３５）は、３打数１安打１四球だった。Ｒソックスは６―４の９回２死走者なしから、エンゼルスに３点を奪われて逆転負け、３連敗で敗退した。松坂大輔投手（２９）は３年目で初めて、ポストシーズンの出番なしでシーズンを終えた。ヤンキースは１６日（日本時間１７日）から、本拠でエンゼルスとリーグ優勝決定シリーズで激突する。

　名前を呼ばれる声がした。シリーズ勝利に沸く試合後のクラブハウス。「マツー、マツー！」。松井の目に飛び込んできたのは、主将ジーターのはじける笑顔とシャンパンのしぶきだった。「うれしいですね。プレーオフの勝利は格別です」と、興奮とアルコールで顔は真っ赤だった。

　シーズンを象徴する戦いだった。打線は昨年までヤ軍に在籍していたパバーノに苦しめられた。松井も「昨年までの４年間で、見たことがない投球だった」と脱帽したほどの内容で、６回まで無得点。目覚めたのは１点を追う７回だった。Ａロッド、ポサダのソロ２本で逆転に成功。この３連戦すべて、シーズン中にはメジャー最多の５１度あった逆転で勝利を手にした。

　本塁打を放った２人に挟まれた松井の７回の打席は三振だったが、きっちり安打も放った。５回、パバーノから９２マイル（約１４８キロ）のシュート気味の球を、中前へはじき返した。前夜（１０日）は、かつてツ軍で世界一、巨人で日本一に輝いたグラッデンに教えてもらったレストランで、ワニ料理に舌鼓を打った。低カロリーで高タンパクの食材を力に変えた。この日はクラブハウスで勝利の美酒を口にし、次の戦いへの英気を養った。

　０５年から３年連続で敗退していた地区シリーズは“鬼門”だった。だが、レギュラーシーズンの相性の良さもあり、ツ軍戦１０戦全勝で壁を乗り越えた。地区シリーズ３連勝突破は、ともにワールドシリーズを４連勝で制覇した９８、９９年以来３度目。５年ぶりのリーグ優勝決定シリーズ進出に「ヤンキースにとっては大きな山だった。次のところにいけたのはうれしい」と言葉を弾ませた。長年追い続ける松井の夢、世界一にまた一歩、近づいた。