松井「楽しみ」過去２回は通算３割６分７厘１４打点…リーグ優勝決定Ｓ

ア・リーグ優勝決定シリーズ第１戦を前に、練習で笑顔を見せる松井（共同）

　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）が“エンジョイ・ベースボール”でリーグ制覇を狙う。エンゼルス戦を翌日に控え、ヤンキー・スタジアムで調整。「楽しみたい」と５年ぶりの興奮をかみしめた。０３、０４年の同シリーズは通算で打率３割６分７厘、２本塁打、１４打点。大舞台での勝負強さが余裕につながっている。ナ・リーグは、第１戦で昨季ワールドシリーズ覇者のフィリーズがドジャースに逆転勝ちした。

　自然と胸が高鳴った。松井は大舞台を前にしても気負いはない。「いい戦いができるんじゃないかと思う。大きな試合をやるのが楽しみですね」。４年間、手が届かなかったリーグ優勝決定シリーズ。野球選手として、「楽しみたい」という原点に戻った。

　ドラマは、いつもこのシリーズにある。０３年と０４年。相手はともにレッドソックスで、第７戦までもつれた。松井は「死闘を繰り広げた思い出はありますが、それを振り返ることはない」と言うが、脳裏には劇的な場面を刻んでいる。０３年の「歓喜」と、０４年の「悪夢」だ。

　１年目の０３年。第７戦で８回に３点差を追いつく同点のホームを踏み、雄たけびをあげて跳び上がった。そして、旧球場で松井が「最も印象深い」という瞬間を迎える。延長１１回、ブーンの本塁打でサヨナラＶを決めた。０４年は３連勝から４連敗して終幕した。

　松井はメジャーのファンを以前、「常にスリリングなプレーを求めている」と表現した。野球の本場でファンをうならせるリーグ優勝決定シリーズだった。あのときのドラマを、今回も心のどこかで求めている。同シリーズは２年間で打率３割６分７厘、２本塁打、１４打点と好成績。十分「楽しめる」実績がある。

　試合当日の天気予報は冷たい雨。足もとがぬかるむ危険もあるが、「慎重にやろうとか考えず、普通にやる」。痛めた両ひざは、いったん忘れる。雨の中で最終調整するなど、準備を整えた。悲願の世界一へ。大舞台を楽しむ姿勢が、松井の力を引き出す。