松井秀メジャー１年目以来のリーグ制覇…ア優勝決定Ｓ

　◆ア・リーグ優勝決定シリーズ第６戦　ヤンキース５―２エンゼルス＝７回戦制＝（２５日・ニューヨーク）　ヤンキースが６年ぶり４０度目のワールドシリーズ進出を決めた。リーグ優勝決定シリーズ第６戦でエンゼルスを５―２で破り、対戦成績４勝２敗で世界一への挑戦権を手に入れた。「６番・ＤＨ」で出場した松井秀喜外野手（３５）は４打数無安打に終わったが、自身初の世界一に向けて意気込みを見せた。なお、ＭＶＰには第１、４戦で先発、ともに８回１失点と好投のＣＣ・サバシア投手（２９）が選ばれた。日本時間２９日からナ・リーグ王者で前年の世界一・フィリーズとのワールドシリーズ（ＷＳ）に臨む。

　百戦錬磨の守護神にすべてを託した。ジラルディ監督は今季初めて、８回先頭からリベラをマウンドへ送った。「今日は２イニング投げると分かっていた」というクローザーは、新ヤンキー・スタジアム最多の観衆５万１７３人の声援を背にリードを守りきった。０３年以来のリーグ制覇。最後のアウトを取ると、ゆっくり歩み寄ってきた捕手・ポサダと、６年間の思いを込めて抱き合った。

　４打数無安打に終わったが、松井も美酒に酔いしれた。「０３年以来？　長かったですね。いろんなことがありましたから」。１年目でワールドシリーズに出場し、日本人初アーチも放った。しかし、その後は苦難の連続。０６年には左手首を骨折し、０７年に右、昨年は左と両ひざの手術も受け、道のりは険しかった。

　しかし、その経験があったから今がある。試合前には０６年に左手首を手術した主治医・ローゼンワーサー医師の激励を受けた。苦悩の期間が世界一への試練であったと自分に言いきかせた。「ワールドシリーズは特別な場所。プレーできてうれしい」と苦しんだ分、喜びは増幅した。

　特別な思いは仲間たちも持っていた。０４年にヤ軍入りし、ワールドシリーズ初出場となるＡロッドは「待ってたのは５年じゃない。自分の５歳の時からの夢なんだ」と熱い思いを口にした。右でん部の手術後は「自分はチームに全く貢献できないんじゃないか」と眠れない夜を過ごしたという。

　今のチームで世界一をかける舞台に立ったことのある選手は、松井を含めて５人（ジーター、ポサダ、リベラ、ペティット）だけ。松井は「経験のある選手が浮き足立っていたらチームが安定しない」と、手本となってプレーすることを誓った。

　初めて松井がヤ軍のポストシーズンゲームを観戦したのは１０年前の９９年、Ｒソックスとのリーグ優勝決定戦だった。「見た試合も接戦で、最後はマリアノ（リベラ）が締めたんだよ」。あこがれのまなざしでピンストライプの背中を追っていた男が、今は世界一へと導く戦士となった。「まだワールドシリーズが残っている。しっかり準備をしたい」。６年前に取り逃した栄冠をつかみにいく。

　ヤンキース・ジラルディ監督「今シリーズは厳しい戦いだった。ずっと尊敬してきたソーシア監督が率いるチームは本当に手強かった。期待された選手が大きな仕事をそれぞれしてくれた。サバシア、ロドリゲス、リベラ、みんなが活躍してくれた。ここまで来られたのは、チーム全体の努力のたまものだと思う」