松井秀１安打も「完敗」…Ｗシリーズ

　◆ワールドシリーズ第１戦＝７回戦制＝　ヤンキース１―６フィリーズ（２８日・ニューヨーク）　第１０５回ワールドシリーズ（ＷＳ）が開幕した。５９年ぶりのヤンキース・フィリーズ対決は、連覇を目指すフ軍がＣ・リー投手（３１）の９回６安打１失点の快投と、Ｃ・アトリー内野手（３０）の２打席連続アーチなどでヤ軍に快勝。０３年以来、６年ぶりシリーズ出場のヤ軍・松井秀喜外野手（３５）は「６番・ＤＨ」で先発したが、３打数１安打だった。

　ネクストバッターズサークルで敗戦を見届けた。松井の前を打つポサダが空振り三振に倒れ、ゲームセット。「久しぶりのワールドシリーズ。幸せな気持ちも強かったけど、結果は残念でしたね」と６年ぶりの大舞台は黒星スタート。グラウンドに背を向けた姿は、どこか寂しげだった。

　昨季王者の前にヤ軍打線が沈黙した。フ軍先発は昨季インディアンスで２２勝し、サイ・ヤング賞を獲得したリー。左腕の緩急自在の投球に１０三振、完投を許した。４回にはテシェーラ、Ａロッド、ポサダの強力クリーンアップが３者連続で空振り三振。８回まで三塁すら踏むことができなかった。９回に相手失策から１点を奪うのが精いっぱい。ポストシーズン１０試合目で初の完敗だった。

　松井は突破口を開こうと必死だった。１点を追う５回先頭。「最後は甘いところだった。打撃だけはよかったと思います」と今ワールドシリーズ初安打を中前へ放った。同点への足がかりにしたかったが、その後の手痛い判断ミスで、チャンスはついえた。

　続くカノの打球は遊撃前への詰まった飛球。フ軍ロリンズはワンバウンドさせて捕球する姿勢に入ったが、ノーバウンドでキャッチ。踏む必要はないのに、二塁を踏んでから一塁へ転送した。この動きに一塁走者の松井は勘違い。「ベースを踏んだのでワンバウンドしたと思った。だまされましたね。審判もだまされてましたから」と一塁を飛び出し、併殺が完成。リーを崩す好機を逃した。

　初戦の重圧は大きかった。本拠地では今ポストシーズン初の黒星。２年連続で出場のフ軍に対し、ヤ軍ナインが“場慣れ”していない分、独特の雰囲気に萎縮（いしゅく）した。「あまりにも完敗だったので切り替えやすいかも」と松井は前を向いたが、エース・サバシアでホーム初戦を落としたのは痛い。悲願の世界一へ、厳しい船出となった。