２戦連発！松井秀、代打弾！４年ぶり左へダメ押し…Ｗシリーズ

　◆ワールドシリーズ第３戦＝７回戦制＝　フィリーズ５―８ヤンキース（３１日・フィラデルフィア）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）がワールドシリーズ第３戦の８回、フィリーズの右腕・マイヤーズから左翼スタンドに代打アーチを放った。７―４からのダメ押し弾で、ヤ軍は２連勝。先発を外れたものの、第２戦の決勝アーチに続く価値ある一発を放ったゴジラ。ヤ軍がこの勢いのまま世界一に輝けば、ＭＶＰ獲得の可能性も出てきた。

　限られたチャンスの中で“アーチスト”としての誇りを見せた。松井の出番は８回２死、代打だった。フ軍・マイヤーズの９２マイル（１４８キロ）、外角に逃げていく高めの速球に、両手を伸ばして逆らわずにはじき返した。「だいぶ長い間、逆方向にホームラン打っていないから、不思議な感じがしました」。自身も驚くダメ押し弾は０５年１０月７日、エンゼルスとの地区シリーズ以来となる左翼席へのアーチとなった。

　Ｗシリーズ史上２４本目の代打本塁打。第３戦を終えて７打数４安打、打率５割７分１厘、２本塁打。ＤＨ制のない敵地ではスタメン落ちしたが、たった１打席で存在感を示した。圧巻の打撃。まさにＭＶＰ候補だ。シーズンとＷシリーズを合わせ、今季の代打成績は２２打数９安打、２本塁打、打率４割９厘。これ以上ない勝負強さが際立っている。

　打撃は少し前まで不振のどん底だった。エンゼルスとのリーグ優勝決定シリーズでは最後の３試合で１２打数１安打。確かに打撃は崩れていた。外角球をひっかけ、不調のサインである一ゴロ、二ゴロが続いた。見かねたロング打撃コーチは今シリーズ前、「外の球にこだわり過ぎると調子を落とす。打ちやすい外角の球だけを左中間に打ちなさい。一本、中堅へヒットが出れば調子は必ず上がる」と伝えていた。

　第１戦の２打席目で中前に安打を運ぶと、第２戦では決勝弾。本来の姿を取り戻し、この日は公式戦、ＰＳ合わせたメジャー通算１４９本塁打中、８本しかない左翼への一発。自分の中でしっかりとした打撃理論を持っているが、人の意見にも耳を傾ける。Ｗシリーズ２戦連発の快挙を生んだのは、松井の野球への真摯（しんし）な姿勢だ。

　降雨により、１時間２０分遅れの午後９時１７分にゲームは始まった。松井の登場は午前０時を回ってからで、プロ入り後、初の１１月アーチとなった。「これまではゆっくりしている時期だからね」。この時期まで野球をやれる喜びは感じている。これで対戦成績は２勝１敗。第４戦に勝てば、９年ぶりの世界一に王手となる。「２勝するというより、まずは１つ勝つ。あす、また頑張ります」。やはり、松井のバットはチームに欠かせない。