松井秀、世界一王手！デイモン１球で２盗塁！…Ｗシリーズ

　◆ワールドシリーズ第４戦＝７回戦制＝　フィリーズ４―７ヤンキース（１日・フィラデルフィア）　松井秀喜外野手（３５）が所属するヤンキースがフィリーズに３連勝、９年ぶり２７度目の世界一に王手をかけた。ワールドシリーズ（ＷＳ）第４戦で、ヤ軍は同点の９回、デイモンの「１球で２盗塁」というビッグプレーを機に、ロドリゲスらの適時打で３得点し、対戦成績を３勝１敗とした。松井は９回先頭の代打で登場も遊飛。ヤ軍はＷＳで３勝１敗とした過去８度すべて制覇と、ゴジラ悲願の世界一へデータも後押しだ。

　頂点への強い思いが、バットに込められていた。同点の９回２死一、三塁。Ａロッドがフ軍守護神のリッジから決勝の左越え適時二塁打。ヤ軍最多タイの単一ポストシーズン１５打点目となる一打は、敵地のファンを沈黙させた。「これまでこんな大きな意味のある安打を打ったことはない」と興奮を隠せない。９年ぶりの世界一へ、ヤンキースが王手をかけた。

　シーズンを象徴する終盤の猛攻だった。リードしながら８回に同点に追いつかれるも、９回２死から３得点。この回の先頭で代打で出場し、遊飛に倒れた松井も「２アウトから素晴らしい攻撃だった。強いヤンキースでしたね」と攻撃陣の粘りに誇らしげだった。

　しかし、最大のヒーローは、リスキーな走塁を披露したデイモンだった。２死から９球粘って左前安打で出塁。続く打者・テシェーラの初球に、フ軍が敷いた右寄りのシフトのスキを突いた。二盗を成功させた直後、捕手のカバーがなく三塁ベースがガラ空きなことに気づいた。捕手からの送球を受けて追いかける三塁手・フェリスを振り切り、三塁を陥れて“１球で２盗塁”を成功させた。

　好機を広げると、Ａロッドの適時二塁打で貴重な勝ち越しのホームを踏んだ。捕手出身のジラルディ監督はデイモンの二盗はノーサインと明かし、「素晴らしい本能的なプレーだった」と絶賛。５日に３６歳となるデイモンは「テシェーラの時にずっと考えていたプレーなんだ。監督からも、守備位置を見て、果敢に次の塁を狙え、と言われていた」と舞台裏を明かした。Ａロッドも「デイモンの走塁に今日は尽きる」と賛辞を贈った。

　プレーオフ進出を逃した昨年の苦い思いから始まった今季。ここまで全１７５試合を戦い、あと１勝のところまでたどり着いた。過去ＷＳで３勝１敗になった８度で、ヤ軍はすべて王座についた。しかし、慢心とは無縁だ。指揮官は「明日、いい試合をやるだけだ」と高鳴る気持ちを抑えつけた。松井も「あと一つ、勝つまではわからない」と気を引き締めた。メジャー移籍７年目。初の頂点をはっきりと今、視界にとらえた。さあ、世界一だ。