ヤンキース番記者８人は松井の残留に否定的

　【ニューヨーク７日】ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）の去就はＮＹの地元メディアでも注目の的となっている。ワールドシリーズでＭＶＰに輝き、９年ぶりの世界一に貢献した松井には現在、ヤ軍が独占交渉権を持ち、ＦＡ（フリーエージェント）にはなっていない。スポーツ報知では、ヤ軍番記者８人に緊急アンケートを実施。松井の去就に関しては、ほとんどの記者が再契約に動く可能性を「限りなく低い」と回答した。残留は、松井より、周辺選手の去就次第という見方が多かった。

　今回のアンケートでは、番記者のほとんどが、現時点での再契約の可能性を「ＮＯ」と答えた。「来季のヤ軍にはベテラン選手を休ませるためのＤＨが必要」と口をそろえた。ニューヨーク・タイムズ紙のケプナー記者は「彼の打撃を失うのはチームに間違いなく痛手。ただ問題なのは彼がＤＨしかできないこと」と説明。ＤＨ専門の打者とは再契約しない―という論調が大勢を占めた。

　松井は今季一度も外野を守らなかったが、ひざの水を２度抜いていたことで、チームは「ＤＨ」としかとらえていない。来季はいずれも３５歳以上のポサダ、ジーター、ロドリゲスを、ＤＨで起用する機会が増える。３６歳になる松井一人をＤＨで固定する状況は作れない。

　「チーム方針は１年で変わらない」とは、ＮＹポスト紙のキング記者。ヤ軍は昨季、３２本塁打、９６打点のジオンビー、２０本塁打、１００打点のアブレイユにオファーを出さず、２人はＦＡ移籍した。「使うなら、若い、運動能力の高い選手」という球団方針が大前提にあったからだ。松井は今季２８本塁打、９０打点を挙げたが、２人と同じような状況にあるといっていい。

　それでも、残留の可能性はゼロではない。デイリー・ニューズのファインサンド記者は「左翼手が補強できず、デイモンとの再契約交渉が難航すれば、松井が戻るチャンスはある」と指摘した。ヤ軍はホリデイ（カージナルス）、ベイ（Ｒソックス）を補強リストに入れているが、獲得できるかは現時点では未知数。松井同様に、４年契約が切れるデイモンの代理人は、敏腕のスコット・ボラス氏。長期契約を狙えば、交渉決裂の可能性が高い。

　ヤ軍が松井に再契約をもちかけるとしても「１年契約」が大方の予想。ニューズデー紙のボーランド記者は「松井の能力なら、他球団の多くがものすごく興味を持つと思う」。松井の評価が低いのではなく、チーム状況が再契約の厳しさにつながっている。

　ヤ軍フロントは８日にも、スタインブレナー・オーナーが滞在する米フロリダ州タンパで“御前会議”を行い、今オフの戦力補強についての方向性を出す予定だ。