松井落選　ＤＨ部門はリンド…シルバースラッガー賞

　米大リーグの打撃のベストナインに当たる「シルバースラッガー賞」が発表され、ヤンキースからＦＡ申請している松井秀喜外野手（３５）は、ＤＨ部門での選出を逃した。

　ワールドシリーズＭＶＰに次ぐメジャーリーグの「勲章」は手に入らなかった。今季は指名打者に専念。ヤ軍を９年ぶりに世界一へと導いた松井だったが、ＤＨ部門で同賞を獲得したのは左翼兼任のＡ・リンドだった。

　松井は指名打者として今季１１８試合に出場し、打率２割７分、２７本塁打、８６打点をマーク。「打って結果を出すしかない」と役割をこなし、ＤＨの選手として、ヤンキースのシーズン最多本塁打記録も樹立した。ア・リーグの指名打者では最も多く本塁打を放ち、安打数と打点はＲソックスのオーティズに次ぐ２位の数字を残していた。

　２６歳のリンドはＤＨで９５試合に出場し、打率２割９分９厘、２１本塁打、７４打点。指名打者での出場試合数、本塁打数などは松井が多かったが、シーズンの合計では打率３割５厘、３５本塁打、１１４打点とリンドの方が上回っていた。同賞のＤＨ部門の受賞には３割、３０本塁打、１００打点のクリアが“暗黙のルール”となっており、松井はあと一歩、届かなかった。

　権威あるスポーツ専門誌「スポーティング・ニューズ」が選んだア・リーグのＤＨ部門で選出された松井だったが、３０球団の監督やコーチの投票で決まる初のシルバースラッガー賞の受賞は来季以降に持ち越し。それでも、１２月上旬にＭＬＢの担当記者や各球団の広報担当者らの投票で決まる「エドガー・マルチネス賞」（年間最も活躍したＤＨ）の受賞の可能性は残っている。

　◆シルバースラッガー賞　守備のうまい選手に贈られるゴールドグラブ賞に続いて、バットメーカーが打撃のいいベストナインとして１９８０年に制定。最多受賞はＢ・ボンズの１２回、現役ではヤンキースのＡ・ロドリゲスの１０回。

　◆イチロー２年ぶり３度目　〇…イチローが２年ぶり３度目の受賞を果たした。シルバースラッガー賞は長距離打者が選ばれる傾向があり、イチローも２６２安打の年間最多安打記録をマークした０４年に落選している。しかし、胃潰瘍（かいよう）や故障で１６試合欠場しながら史上初の９年連続２００安打、ヤンキースの守護神・リベラからの逆転サヨナラ２ランを含め年間３本のサヨナラ安打を放つなど、他球団の首脳陣に強い印象を焼きつけたようだ。