エンゼルス、松井獲り本気！Ｗソックスは“撤退”

　【インディアナポリス（米インディアナ州）９日】ヤンキースからＦＡとなった松井秀喜外野手（３５）の獲得へ、ア・リーグ西地区の強豪エンゼルスが乗り出す。ウインターミーティングで、エ軍のソーシア監督が「獲得を考慮するべき選手」と明言した。外野手とＤＨの兼任を求めるとみられ、松井の希望と合致する。松井に興味を示しているとされていたＷソックスが、獲得に動かないことも分かった。

　松井の名前を聞かれ、顔がほころんだ。エ軍のソーシア監督は「うちの球団内でも、彼について検討はしている。彼は間違いなく、我々が獲得を考慮するべき選手だ」と断言した。球団首脳に続き、現場を預かる監督がラブコールを送ったことで、獲得への信ぴょう性がうかがえる。

　所属チームに松井が求めるポイントも把握していた。「我々が聞いたところでは、彼は確かにまだ外野ができる人材」とＤＨだけでなく、外野手としても期待している。ただ、昨年６月から守備についていないため、外野手としての起用については、「今オフと春季キャンプを見てからじゃないと評価は下せない」と先走ることはなかった。冷静な言葉は、裏を返せば戦力として機能するか、真剣に確認している証拠でもある。

　エ軍のリギンスＧＭは「獲得は選択肢のひとつ」とし、すでにＧＭミーティングから松井獲りに前向きだった。エ軍は主に４番でＤＨを務めたゲレロがＦＡとなり、主軸打者の補強が急務。ソーシア監督は「ゲレロが守る頻度と同じぐらいはできるんじゃないか」と予想している。今季守備についたのは２試合ながら、通算４０７本塁打を誇る強打者の後任に期待。０９年ア・リーグ最優秀監督の言葉だけに、評価の大きさがうかがえる。

　エ軍が本腰を入れる一方、米メディアに松井獲得を報じられていたＷソックスが撤退することも分かった。球団の最高幹部が「うちには資金がない。松井秀喜の名前は、これまで我々の球団内の補強の検討の中で一度も出ていない」と資金力不足を理由に、獲得へ参戦しない方針。ＤＨ制のないメッツも外野守備に懸念を示している。

　外野手としての起用を考えていないヤ軍と違って、エ軍は「外野手兼ＤＨ」を提示する方針。地区３連覇しているエ軍は世界一を狙えるチームでもあり、松井の希望に合う。ヤ軍はキャッシュマンＧＭと代理人のテレム氏との会談で交渉を開始したばかりだが、着々と補強を進めているうえ、松井の起用法を変えるつもりはない。エ軍の熱意が松井の心を動かす可能性は十分にある。