エンゼルス・ソーシア監督　松井を直接視察へ

ひざの不安も消えた松井は“外野手復帰”を目指し、早くも自主トレをスタート

　【インディアナポリス（米インディアナ州）１０日】ヤンキースからＦＡとなり、米カリフォルニア州で自主トレ中の松井秀喜外野手（３５）に対し、獲得の意思を明かしたエンゼルスのＭ・ソーシア監督（５１）が“電撃視察”を検討していることが、分かった。松井の動きを自らチェック。昨年９月に手術を受けた左ひざなどに問題がなければ、獲得作業を一気に進める。一方、ヤ軍のＢ・キャッシュマンＧＭは今オフ、初めて松井の具体的な起用法を明かし、残留交渉を続ける方針を示唆した。

　獲得への本気度が伝わってきた。来季の外野手復帰を目指し、西海岸で自主トレ中の松井に対し、エ軍・ソーシア監督は「（練習をしていることは）知っている。見に行くことも考えている」と明かした。松井はウインターミーティング開幕前日（６日）に“始動”。その強い思いが、名将の心を動かした。

　ソーシア監督は９日の監督会見で、獲得の意思があることを表明した。その中で、今季１試合も守備に就いていない松井について「今オフと春季キャンプを見てからじゃないと評価は下せない」とも話していた。自分の目で、どれだけ守備ができるかを見極めて、正式に獲得するかどうかを判断する。獲得することになった場合、足を運んだ指揮官の“誠意”が松井に届くのは間違いない。

　代理人のＡ・テレム氏は、松井が米カリフォルニア州で自主トレしていることを明かしている。エンゼルスの本拠地は同州のアナハイム。ソーシア監督も同じ州に自宅があり、直接視察に支障はない。４日間、行われていたウインターミーティングはこの日で終了。自宅に戻り、スケジュールを整えた後、自主トレが大詰めを迎えた頃に合わせ、松井の状態を確認に訪れる見込みだ。

　エ軍はＦＡとなったゲレロとの交渉が難航中。主に４番、ＤＨを務めた主砲は２年契約を要求。しかし、左ひざを痛め、今季は故障者リストに２度入った。球団側は複数年契約を結ぶことに難色を示していることから、話し合いは平行線をたどっている。松井がそのポストに入り、１週間のうち３試合前後、外野手として起用することを確認できれば、ラインアップの幅も広がってくる。

　獲得に本腰を入れてきたエンゼルス。ア・リーグ西地区３連覇中の強豪に対して、起用方針は変えるつもりはないが、今後も粘り強く残留交渉を続けるヤンキース。さらに今後の他球団の出方も気になる。“未所属”のままウインターミーティングを終えた松井だが、来季の所属先は少しずつ絞られてきた。

　◆ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム　１９６１年、ア・リーグの球団拡張で同リーグ初の西海岸のチームとして誕生。７９、８２、８６年に地区優勝。ソーシア監督就任後はさらに強化された。初代オーナーはカントリー歌手のＧ・オートリー氏。９７年から０３年までディズニー社。現在はメキシコ系のＡ・モレノ氏。本拠地球場はエンゼル・スタジアム（４万５２５７人収容）。

　◆現役時代ド軍で１３年捕手で２度の世界一［ソーシアという男］　○…現役時代は１８８センチ、１００キロの巨体を利した本塁上のブロックに、リード面も優れた捕手だった。メジャー実働１３年をドジャースで過ごし、通算１１４１試合出場で打率２割５分９厘、６８本塁打、４４６打点。８１、８８年のワールドシリーズ優勝に貢献した。
  コーチ、３Ａ監督を経て、００年にエンゼルス監督に就任。盗塁やヒットエンドランを多用する「スモールボール」タイプの監督。１球ごとに自軍の捕手にサインを送ることで知られる。３年目の０２年にワイルドカードから球団初の世界一に導き、最優秀監督に選ばれた（今季２度目の受賞）。その後も、最近６年間で５度の地区優勝を飾るなど、通算９００勝７２０敗（勝率．５５６）と名将への道を歩んでいる。今年１月に、６０歳を迎える２０１８年までの“永久監督”契約をエ軍と結んだ。