ヤンキース、今さら松井に未練…ＧＭ「出来るなら待って欲しかった」

　「出来るなら待って欲しかった」―。ヤンキースのＢ・キャッシュマンＧＭが１７日、エンゼルスへ移籍した松井秀喜外野手（３５）への「未練」を語った。

　ヤンキー・スタジアムで日本メディアの取材を受けた同ＧＭは「松井は特別な選手。どこにいっても永遠にヤンキースの一員」と７年間にわたるチームへの貢献を最大級に評価。その上で「出来るなら（ヤンキースからのオファーを）待って欲しかった」とちょっぴり都合のいい“恨み節”を口にした。

　同ＧＭは、ウインターミーティングが終了した翌日の１１日、松井の代理人であるテレム氏と電話会談。ヤンキース残留への条件を提示する場合は、１６日頃までに行うと伝えた。ところが松井サイドから１３日に連絡を受け、同日中に残留へのオファーを出すか否かの決断を迫られたという。この日の昼、松井らはエンゼルス首脳陣とランチをとっており、その席で入団交渉を詰めていた。

　１４日にオーナー側と補強予算について協議する予定だったキャッシュマンＧＭは「（残留への）関心はあっても、今はまだ決められない」と松井に直接、態度保留を伝えたという。「エンゼルス側が（松井に）決断を迫っていたのだろうが、我々は誰が相手でも１３日に決断を下せる状況になかった」

　最終的には、ヤンキースの不戦敗といった形で１４日に松井側がエ軍と基本合意に至った。

　松井に対しての厳しい発言が印象に残るキャッシュマン氏。手のひらを返したような絶賛コメントと、あえて交渉の舞台裏をさらした背景には、松井の「流出」に批判的なニューヨークや日本のファンへの“言い訳”の側面もありそうだ。

　ヤンキースの共同オーナーであるＨ・スタインブレナー氏も「ビジネスとしての感情を抜きにしても、彼（松井）は偉大なヤンキースの選手であり、素晴らしい人物だった。でもチームは変わらなくてはならない」と説明。常勝軍団の新陳代謝を優先した、苦渋の決断であることを強調した。

　０４年から６年間チームメートだった主砲のＡ・ロドリゲス内野手は「松井はプロフェッショナル。（ワールドシリーズ）第６戦では、僕が出塁するたびに生還させてくれた」と頼もしい５番打者の移籍を残念がっている。