松井にイチ撃　「赤どうですか？全然イケてない」

２回１死一塁、リベラの併殺打で二封された松井（右）は、ベンチに戻るイチローに笑顔で声をかけた

　◆オープン戦　エンゼルス６―１２マリナーズ（２１日・アリゾナ州テンピ）　今季からア・リーグ西地区で戦うマリナーズ・イチロー外野手（３６）とエンゼルス・松井秀喜外野手（３５）の今季初対決が、オープン戦で実現した。イチローは「１番・右翼」で４打数２安打２打点、松井は「４番・ＤＨ」で２打数１安打１打点１四球だった。試合中にイチローが、赤いユニホームの松井に対し「イケてないよ」と“先制口撃”する場面も。試合後は固い握手を交わし、今季の健闘をたたえ合った。

　積み重ねてきたヒットのように“痛烈”だった。イチローが松井に先制「口撃」を仕掛けたのは、２回終了時だった。エ軍・リベラの併殺打でチェンジとなり、イチローは右翼から引き揚げてきた。松井は二塁でアウトになり、ベンチに戻ろうとしていた。その時、お互いの姿を視界にとらえ、マウンド付近で交わった。

　会話は短い時間だった。
  松井「赤（のユニホーム）、どうですか？」
  イチロー「全然、イケてないよ」

　安打製造機はそう内容を明かし、松井のセリフは甲高い声で何度もモノマネを披露。見慣れない格好を“バッサリ”と切り捨てた。

　イチローは松井だけでなく、エンゼルスにも“衝撃”を与えた。エ軍から獲得したフィギンスと組む脅威の１・２番コンビが、いきなり火を噴いた。初回、先頭でイチローが中前安打。すると、続くフィギンスが右翼線へ適時三塁打。２人であっさりと先制点を奪った。

　打者一巡の猛攻となった７回には、１死一、二塁から右中間へ２点適時三塁打を放つなど、４打数２安打２打点だった。オープン戦ながらも前哨戦に圧勝。「ここ何年か、ずっとエンゼルスが（地区を）勝っているわけだから」と過去６年間で５度、最近は３年連続で地区優勝を許していることに悔しさを持っている。“今年は違う”とライバルに見せつけるには十分な活躍だった。

　松井もマ軍の勢いを感じた。「今日の攻撃は素晴らしい部分が出ていました。イチローさんも素晴らしい打撃でした」と賛辞を贈り、マ軍の野球に警戒を強めた。打撃では、４回１死一塁で、マ軍左腕・フレンチから中前へ３試合ぶりの安打。「球の見え方がよくなりました」と納得の内容で、２打数１安打１打点と手応えをつかんだ。

　試合後の駐車場。２人は再度、対面した。イチローは「元気してんの？」と松井を気遣った後、「声が高いよ。（ユニホームは）全然、似合ってないし」とまたも“パンチ”をお見舞い。松井は「やっぱり？」と言葉少なだったが、イチローの「（外野を）守るんだって？　頑張って」という激励に「はい」と力強く言葉を返し、固く握手した。直接対決は、オープン戦では２日後にもう１戦、公式戦では今季１９試合ある。日本中が注目する熱戦のゴングが鳴った。

　◆ともに３割マーク　松井のマリナーズ戦通算打率３割１分２厘は、ア・リーグ１３球団中３番目、５本塁打は、対戦数の多かったア・リーグ東地区４球団と、移籍したエンゼルス（８本）を除くと最多アーチ。イチローのエンゼルス戦３割６厘は、ア・リーグ相手ではカード別最低打率。ただし、昨季は３割３分３厘で２６安打、７長打はともにカード別最多だった。