松井開幕弾！本拠４万３５０４人熱狂ド派手デビュー！！

８回、松井の本塁打が飛び出すと球場の左中間にある巨大な岩山から花火が打ち上げられた

　◆エンゼルス６―３ツインズ（５日・アナハイム）　エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）が「２年連続開幕弾＆決勝タイムリー」と、新天地で鮮烈なデビューを飾った。ツインズとの開幕戦に「４番・ＤＨ」で先発出場すると、３―３の５回２死一、二塁から右前へ勝ち越し適時打。８回には試合を決める今季１号ソロを中堅右へ叩き込んで勝利に貢献し、本拠地に集まった満員の４万３５０４人の期待に応えた。

　大歓声が心の中にまで響いた。新しい本拠地のファンの温かい声と花火が松井を出迎えた。今季最初のヒーローインタビュー。選ばれたのは“赤い５５番”だった。「素晴らしいチームで強いチーム。その中で打線の中心でやってくれ、と（監督に）言われてきた。昨年と同じところまでいけるように頑張りたい」。早くも“世界一宣言”が飛び出した。優勝請負人がエ軍の一員になった瞬間だった。

　やはり節目に強かった。８回先頭、ツ軍３番手左腕・ミハレスの８１マイル（約１３０キロ）のスライダーをとらえた。中堅右に吸い込まれたエ軍第１号アーチは、松井にとって２年連続の開幕弾。「チームも変わって、最初のスタート。いい結果を出せて良かった。おそらくそう（忘れられない日に）なるんじゃないかと思う」。メジャー８年間で４本目の開幕アーチ。昨年は空砲も、今年は勝利を決定づける一発。試合後、クラブハウスに戻っても、笑顔が絶えなかった。

　移籍後の初安打は同点の５回２死一、二塁から出た。勝ち越しとなる適時打を右前へ。粘りの投球を見せる先発・ウィーバーへ大きな１点となった。初の開幕戦白星を挙げた右腕は「本当にマツイが大きな場面でヒットと本塁打を打ってくれた。素晴らしい戦力が加わったよ」と賛辞を惜しまなかった。だが、感謝しなくてはならなかったのは、松井の方だった。

　キャンプ中、クラブハウスにあるホワイトボードの一番下には「今日の日本語」と記されていた。新加入の松井とチーム全員が少しでもコミュニケーションをとろうとウィーバーが発案したものだった。「ＳＡＮＳＨＩＮ（三振）」といった野球用語から「ＯＮＡＫＡ　ＳＵＩＴＡ」（おなかすいた）など、松井のカーロン通訳に依頼して日本語を書いてもらった。

　そのおかげもあり、チームメートの距離はぐっと縮まった。本拠地に移動してからもウィーバーは「ここでもやろう」と率先して、日本語を覚えようとした。開幕戦の日に書かれていた日本語は「ＹＯＫＵ　ＹＡＴＴＡ！（よくやった！）＝ＧＯＯＤ　ＪＯＢ」。投打のヒーローはその言葉で勝利を分かち合った。

　７年間着たピンストライプから、赤が映えるユニホーム姿に変わった。「今日みたいな日がたくさんあれば、みなさんもいいと思ってくれるでしょう」と松井は笑った。自ら獲得に動いたソーシア監督は「自分の役割を理解し、いい仕事をしてくれた。相手をよく研究している。それが彼の成功の秘訣（ひけつ）だ」と２安打２打点だった新４番打者の活躍にご満悦。キャンプイン初日、松井はチームについて「家族のような雰囲気」と表現した。この日、名実ともにファミリーの仲間入りを果たした。

　◆日米通算８本目の開幕弾　○…日本人選手のメジャー開幕戦本塁打は通算８本目となるが、松井秀は４本目（松井稼２、城島、福留各１）となる。通算成績は３２打数１２安打の打率３割７分５厘。巨人時代も３割８分２厘、４本塁打。なお、開幕戦の通算最多本塁打ベスト３は、日本では〈１〉長嶋茂雄１０〈２〉門田博光９〈３〉山内一弘、衣笠祥雄各７。大リーグでは〈１〉Ｆ・ロビンソン、Ｋ・グリフィー各８〈３〉３人が７。松井の日米通算８本は、日本なら３位に入る。