松井、メジャー１０００安打！大拍手に「意外。あそこまでとは」

５回無死、右前安打を放ち大リーグ通算１０００安打を達成したエンゼルス・松井

　◆エンゼルス５―２インディアンス（２６日・アナハイム）　エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）がインディアンス戦でメジャー通算１０００安打を達成した。５回先頭、イ軍先発左腕・ハフから右前安打し、マリナーズ・イチローに続き、日本人メジャー２人目となる節目へ到達。８回の第５打席ではメジャー通算５００三振。一日で２つの好対照な記録をマークするなど、忘れられない試合となった。チームは５―２で逃げ切り、今季３度目の貯金１となった。

　１０００回目の確かな感触が手にはあった。右前安打を放ち、いつも通りに松井は一塁に到達した。次の瞬間、目と耳を疑った。「意外でしたね。あそこまでなるとは思わなかった」。電光掲示板がメジャー通算１０００本であることをファンに知らせると万雷の拍手が降り注いだ。手応えが残った右手でヘルメットを取り、歓声に応えた。

　さらに２つ、節目の“記録”が目前に迫っていた。３点リードの８回無死一、二塁。一発出れば、日米通算１５００打点に到達。三振ならメジャー通算５００三振だった。その打席で松井は豪快なスイングを見せた。３球目に思い切りよく空振りをすると、５球目は右翼ポール際へ本塁打かと思われた打球は特大ファウル。期待は高まったが、結果は空振り三振。１０００安打と一緒に不名誉な数字が刻まれた。

本拠地のファンの声援にヘルメットを脱いで応える松井

　松井はヒットだけを狙えば「もっと（安打を）打てる」と言う。実際に０８年のシーズン、５月７日にメジャーで初めてア・リーグ打率トップに立った。「あの時は長打の意識を減らしていた」。レギュラーが確約されていなかったため、オープン戦から結果にこだわった。ミートだけを心がける打撃を続けた。

　それは自分の追い求める姿ではなかった。左ひざを痛めて、故障者リスト入りしたことがきっかけとなり、戦列に復帰した同年の８月には長打に重点を置く意識へ戻した。「自分にはヒットの延長が長打やホームランになる打撃と、長打を強く意識してヒットになる打撃がある。０８年前半と移籍当初だけは前者。でもほとんどは後者の打撃。今もそうです」。単打だけを重ねることに興味はない。常にアーチストのプライドを持っていることを強調した。

　メジャー１０００安打で５００三振。１０年間プレーした巨人では１３９０安打で９３４三振だったとあり、三振のペースは減っている。松井は「知らない投手が多いから追い込まれる前に打とうと思って、勝負が早めになっている」と分析した。その結果が積極性を生み、甘い球を逃さない松井のスタイルが確立された。積み重ねてきた数字には、メジャー８年間で試行錯誤した足跡が刻まれていた。