松井、劇的Ｖ打で１５００打点！主砲１８年の勲章

　◆マリナーズ３―４エンゼルス＝延長１０回＝（８日・シアトル）　ついに出た！　エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）が敵地のマリナーズ戦で日米通算１５００打点を達成した。「５番・ＤＨ」で先発出場し、４回の第２打席で１９打席ぶりとなる左前安打を放つと、延長１０回に左前に決勝適時打。王手をかけてから８試合ぶりの打点で、日本人では史上９人目の大台に到達した。マ軍はイチロー外野手（３６）の２点三塁打も実らず２年ぶりの８連敗となった。

　ギリギリまでボールを呼び込み、強く叩いた。３―３の同点で、目前のモラレスが敬遠され迎えた延長１０回１死一、二塁。松井はフルカウントからの６球目、真ん中高めの９５マイル（１５２キロ）の直球を振り切った。「逆方向にいい打撃だった」詰まりながら左前に運び、二塁走者の生還を見届けると、小さく拳を握った。

　「そういう数字にきましたね」積み上げた１５００打点の重みをしみじみとかみ締めた。「走者がいる場面で回ってくる打順で、長い間打っていますから。また、そういう（打点を挙げる）役割を担っているからこそ、そこ（主軸）にいるわけで」。巨人、ヤンキース、そしてエンゼルスでのプロ生活１８年。常勝を義務づけられるチームで主砲として重責を担ってきた自負があった。

　「自分の数字に興味はない」が、チームの勝利のため「得点につながるから意識している」。本塁打や安打と違い「僕だけの力じゃない」というチームプレーの結晶。それが松井のとらえる打点だ。王手から７試合足踏みし、安打すら出ない苦境もチームで乗り越えた。今季初の延長戦に自らのバットで決着をつけ、仲間と喜びを分かち合った。

　３番のハンターは「俺があいつにちょっとしたグッドラックを運んだな」。この日の試合前。不振の表れか、珍しくマスコットバットを折り、ハンターのを借りて練習した。４回に左前にポトリと落ちる１９打席ぶりの安打。幸運を呼び「どういう当たりでも気分はいい」と快挙につなげた。

　現役メジャーでも松井以外に４人。日本では王貞治氏（３４歳２か月）に次ぐ、３５歳１０か月の若さで大台に達した。「日米は足して考えない。比べては失礼だよ」と謙そんするが、ソーシア監督は「日米通算の数字は彼のそのままを象徴している。チャンスに強い打者だし、すばらしい才能もある。驚くべき数字ではない」とたたえた。

　開幕から３２試合連続出場での記録に、指揮官のご褒美で９日は今季初の休養に。「あとは積み上げていくだけ」。そのバットで勝利に貢献し続ける。

　［松井打点メモ］
  ◆日本初　新人だった９３年５月１日のヤクルト戦（東京Ｄ）に、「７番・左翼」で先発デビュー。５回無死二塁で迎えた第２打席で、西村から中越えに適時二塁打。
  ◆日本最多　２０００年８月１１日の広島戦（広島）で、２本塁打を放つなど４安打６打点。
  ◆米国初　２００３年３月３１日、敵地カナダ・トロントで行われたブルージェイズとの開幕戦にヤンキースの「５番・左翼」でスタメン出場。初回２死一、三塁のメジャー初打席で、ハラデイから左前適時打。
  ◆米国最多　昨年８月２１日のＲソックス戦（ボストン）で３ラン２本を放つなど７打点。