松井、長嶋超え日米通算１５２３打点

試合前にヤンキース時代に監督だった、ドジャース・トーレ監督（左）と談笑する松井（共同）

　◆ドジャース１―１０エンゼルス（１１日・ロサンゼルス）　エンゼルスの松井秀喜外野手が、ドジャース戦で日米通算１５２３打点をマークし、恩師である長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督の通算１５２２打点を抜いた。「５番・左翼」で先発した松井は、５回２死満塁で勝ち越しの３点二塁打を放ち勝利に貢献。３６歳の誕生日前日に、もう１人の恩師であるヤンキース前指揮官のド軍・トーレ監督の目の前で、ミスター超えを果たした。

　５回２死満塁、初球の９３マイル（約１４９キロ）を叩いた打球は、飛びついた右翼・イーシアのグラブをすり抜け、右中間に転がった。「ちょっとだけ詰まりました。捕られなくてよかった」。同点に追いつかれた直後の価値ある走者一掃勝ち越し二塁打。そして、ミスターの通算打点を上回った瞬間だった。

　「どうですかねえ。そういうふうに（日米通算では）考えないし、監督の数字を意識することもない」。松井が、ただ「監督」と言うとき、それは長嶋さんのことを指している。すでに通算本塁打も上回っているが、今でも「超えた」とは思っていない。「数字では超えても、監督を超えられる人は、日本人にはいないんだよ」

　直前のアスレチックス４連戦中、約２か月ぶりのメッセージが届いていた。ミスターはエ軍の広岡広報の携帯電話を鳴らし、６月絶好調のゴジラを「いい構え、シルエットだ。重心もうまく乗っている」と絶賛。星稜高時代に初めてメジャー観戦したドジャー・スタジアムで、何より恩返しの打点となった。

　ヤンキース時代に５年間ともに戦ったトーレ監督と初の師弟対決。米国での恩師からも、うれしい言葉をもらった。「彼は本当のプロフェッショナル。あの状況で冷静に対応した」。試合前の練習では「いろいろ楽しくお話ししました」と肩を組まれて談笑。打点量産を意味するニックネーム「パックマン」の名付け親に手厳しい恩返しで、あらためて真価を見せつけた。

　敵地での交流戦で左翼に入り、６回の守備からはお役ご免。メジャー通算１５０本塁打は、１２日の誕生日にお預けとなった。ただ、ソーシア監督は「明日か日曜は休養かな」とバースデー休暇も示唆している。

　球場を出る頃には午後１０時半を回り、松井は「誕生日？　あと１時間半くらいだね」と笑った。初のフリーウエー・シリーズは、道路渋滞のため予想以上に球場到着が遅れたが、帰りはアナハイム近郊の自宅まで約１時間。３５歳最後のドライブは心地よかった。