松井、生涯ヤ軍へ「不動心」…語った契約最終年への思い

契約最終年への意気込みを語った松井

　ヤンキースの松井秀喜外野手（３４）が、契約最終年の決意を語った。６日に敵地ボルティモアでメジャー７年目のスタートを切る松井は、オリオールズとの開幕戦を前にスポーツ報知の独占インタビューに応じた。昨年の左ひざ手術から復活を懸ける今季は４年契約最終年。希望する“生涯ヤ軍”を勝ちとるために、契約問題を意識せず、座右の銘「不動心」の精神で戦い、どん欲に結果だけを追い求めていく覚悟を明かした。

　ただの７年目ではない。今シーズンを迎える松井には、一つの事実がついてまわる。「４年契約最終年」。ある意味、背水の陣といっていい。この環境を本人はいったい、どのように受け止めているのか。

　「最終年という意識を持ってプレーはしません。これは（現実から）逃げているわけではないですよ。あくまで結果。結果次第で今後がどうなるのか、決まるわけだから」

　新しい契約を勝ち取るために何かをするという意識は全くない。むしろ座右の銘でもある「不動心」を貫く。

　「成績が伴わないと放出されるだろうし、それも結果だから。（球団から）“いらない”って言われたら、どっか行くしかないわけだし。“居てくれ”って言われるかもしれないけど」

　松井の願いはピンストライプのユニホームを着続けること。愛着あるチームを今年去るかもしれない現実を前にしても、悲壮感はまるでない。むしろ覚悟を決めている表情だ。

　「もちろん健康であることが大前提だけども、フロント、首脳陣に求められていることは、結果以外、何もない。どれだけの結果を出すか。頭にあるのはそれだけです」

　今年のシーズンは近年悩まされていた両ひざの痛みから解放された。飛躍的な数字が残れば、シーズンの早い段階で契約延長を勝ち取れる可能性もある。

　「これぐらい残せたらとかいう数字の設定はしない。なぜなら、数字を追いかけながら野球をやりたくないから。いかにチームが勝つために、その時、その試合、その１球をどうしていくか。その結果が年間通じた数字になる」

　それでも周囲は、いやでも数字と照らし合わせながら、今後の動向に注目する。成績が一つのバロメーターになる。

　「何度も言うが、昔から数字とかを意識してプレーするのが好きじゃない。意識しないでプレーをする方がいいものが出る。これまでもそうだった。自分の契約問題と今年のヤンキースでの成績を重ねて考えることは、ない」

　今季は本塁打だけでなく、打率、打点すべてにおいてこだわりを持たない。むしろ松井が重きを置いているのは“いかに自分のバットで勝つか”である。つまり自分の存在価値だ。

　「とにかく自分がチームの力になって勝てばいい。野球っていうのは一人ひとり違う状況でやるわけだから。チームが勝つプレーができれば」

　いよいよ開幕を迎える。打率３割２分４厘と結果を残し、打点６、本塁打がゼロだった昨年と比べ、今年は打率２割２分ながら、打点１４で本塁打は４本。レギュラーを確約されていなかった昨年とは対照的な数字でオープン戦を終えた。

　「昨年はどうしても結果を出さなくてはいけないオープン戦だったから。ヒット打つということにかなり意識を置いていた」

　昨年は右ひざの手術明けで無理をしてオープン戦に臨んだが、結果を残し、首脳陣の信頼を獲得した。「８番・ＤＨ」で開幕スタメンを勝ち取った。

　「今年はそういう（率を残す）意識を置かずに、とにかく自分のバッティングを心掛けた。そういう意味で気持ちの違いはあった。技術的に何かを変えたということはない」

　がむしゃらに結果を追い求める必要はなく、ゆとりを持てたことが大きかった。信条でもあるマイペースを貫き、本塁打、打点ともにオープン戦チーム２位の好成績に結びつけた。右股（こ）関節痛で離脱中のＡロッドが不在のため、４番を任されることが濃厚だが、たとえ主砲が健在でもチーム構想では「５番・ＤＨ」での起用だった。

　「実戦は出場機会を多く与えてもらった。自分なりにはある程度、いろいろ試すことができた」

　打撃面では試行錯誤の状態が続いている。テークバックの位置、ひざの踏み込みなど複数のチェックポイントがある。しかし開幕に“完成体”は間に合わなかったという。

　「開幕は気持ちと体の準備をすればいい。技術的にはその時、その時にチェックするところがあるから。開幕だからどうこうというのはない。心配いりませんよ」

　状態は緩やかなカーブで上昇している。精神面でも技術面でも焦りはない。ヤ軍の４番としてどっしり構えている。今年の自分に対する自信と闘志がみなぎっていた。