松井移籍も！ＦＡ申請し本拠荷物撤去…残留固執せず全３０球団ＯＫ

　ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）が、ヤ軍との決別覚悟のフリーエージェント（ＦＡ）となった。代理人のＡ・テレム氏を通じてＦＡ申請を行い、米大リーグ機構が受理。松井はヤンキー・スタジアムでロッカー整理を行い、メジャー７年目で初めて荷物を完全撤去した。ヤ軍のＢ・キャッシュマンＧＭは「ＤＨとしてしか考えていない」と再契約の条件を明言。松井は外野手起用も条件にしているため、ヤ軍残留に固執せず、全３０球団ＯＫの姿勢で来季プレーするチームを探していく。

　覚悟を決めて、松井はヤンキー・スタジアムに向かった。代理人のテレム氏に「今日、ＦＡ申請を行ってください」と伝えた後のことだった。米大リーグ機構のプロモーションビデオの撮影で、もともと球場を訪れる予定があったこの日、ロッカーをきれいに片付けた。

　海を渡って７年目を終えた。ロッカーから、自分の荷物を一つ残らず撤去するのは初めて。気持ちをまっさらにして、出直しを誓う自分なりの儀式だった。テレム氏がヤ軍と下交渉を行い、再契約への道が難航していることは伝えられていた。「それならば」。３０球団のゼネラルマネジャー（ＧＭ）が一堂に会するＧＭ会議の初日、自身のメジャー第２ステージをスタートするため、ＦＡ申請をした。

　テレム氏はＧＭ会議が開催されるシカゴ市内のホテルに姿を見せた。「この７年間、すばらしい活躍をした。夢見てきた世界一のリングを手にしたことを、うれしく思う」。代理人も今オフを区切りと見ていることは明らかだった。「彼が幸せになることが大前提。そのためにベストを尽くすことを、彼に約束した」と明かした。

　今後の交渉で、テレム氏は松井の希望をかなえることに集中する。その一つが、外野手としての復帰だ。「今のひざの状態では正直、守備ができる状況じゃない。でも良くなったら、練習する」。シーズン中に松井はオフに練習を再開することを口にした。「できることを自分で証明できれば、問題ない」。外野手としての契約に自信もちらつかせた。

　だが、ヤ軍はそれを受け入れるつもりはない。ＧＭ会議に参加したキャッシュマンＧＭは「ワールドシリーズで活躍しても、活躍していなくても、我々の考えは変わらない」と前置きして続けた。「松井のことは、ＤＨとしてしか考えていない。外野手とは考えていない」と断言した。「彼は打点を挙げさせたら天下一品。すばらしいヤンキースの一員。彼にとって、チームにとってベストなことを今後決めていく」。１９日まで独占交渉権があるが、再交渉日の設定も決まっていないことを明かした。

　来年６月で松井は３６歳になる。プレーする場所はヤ軍だけではない。野球選手としてのこだわりを捨てるつもりはない。結果的にヤ軍と再契約する道も残るが、世界一を決める舞台でＭＶＰを獲得したスラッガーは、３０球団ＯＫの再スタートを切る。