秀喜感激！６年ぶりサヨナラ弾

　◆ヤンキース２―１オリオールズ（２０日・ニューヨーク）　ヤンキースの松井秀喜外野手（３５）がオリオールズ戦で、新人だった０３年７月以来６年ぶり、メジャー２本目のサヨナラ本塁打を放った。同点の９回１死、右腕ジョンソンの真ん中低めの９６マイル（約１５５キロ）を右中間スタンド中段に叩き込む１５号ソロ。後半戦４連勝を飾ったヤ軍はＲソックスに並ぶア・リーグ首位に返り咲いた。７月５ホーマーと爆発するゴジラとともに、チームも快進撃を続ける。

　「打った瞬間」に確信した松井秀が、ゆっくりと左打席から走り出した。打球は４２３フィート（約１２９メートル）先の右中間スタンドで弾む。６年ぶり自身２本目のサヨナラアーチにも、口元を引き締めてダイヤモンドを一周した５５番に、本塁付近で出迎えたＡロッドらがはやし立てた。「普通にホームを踏もうと思っていたら、みんなが“やれ、やれ”って言ったんで…」。３５歳にして初めてヘルメットを高く放り投げるパフォーマンスを披露して、祝福の嵐に身を投げた。

　１―１で迎えた９回１死。カウント２―２から、オ軍３番手右腕ジョンソンの６球目。真ん中からやや沈む９６マイル（約１５５キロ）のツーシームを振り抜いた。「甘いボールが来てラッキーだった。素晴らしいひと振り」。珍しく松井が自画自賛する１５号ソロだった。

　前日（１９日）、先発出場では１か月ぶりに２試合連続ノーヒットに終わった。「内容は悪くない」と答えたが、この日も最初の３打席音なしで、１０打席連続無安打になった。それでも「あんまり対戦がない投手（過去４打数１安打）。前の回からちょっと球筋を見て、（打席に）ストレート系というイメージで入りました」という。７月の打率が３割を超える背番号５５は、冷静さを失わなかった。

　試合後のグラウンドで受けたインタビューの際には、今季８勝している右腕バーネットから、ホイップクリームを顔面に浴びせられた。「生まれて初めて」の体験にも、「こういうことは何度あってもいいね」と笑顔が止まらなかった。

　手術を受けた両ひざに爆弾を抱え、守りにつけないジレンマが続いている。夏場に入って体調面で上向きになっており、守備練習を再開するようになった。しかし、ジラルディ監督はひざへの負担を考えてＤＨ限定の起用を崩さない。「緊迫した状況に慣れている。感情に高ぶりがなく、落ち着いていられるのがいい結果につながっている」とメンタル面の強さを高く評価。この日も真っ先にヒーローを絶賛した。

　チームは４連勝で１１日ぶりの首位タイに浮上。「このまま行きたいですね」。チームと自らの打撃への思いを込めた。後半戦の松井のバットが２年ぶりの地区優勝へ導く。