松井が戻ってきた　２の０も満足…１６５日ぶり実戦「４番・ＤＨ」

　◆ヤンキース０―６カナダ代表（５日・フロリダ州タンパ）　左ひざ手術からの復帰を目指すヤンキース・松井秀喜外野手（３４）がＷＢＣカナダ代表との練習試合に「４番・ＤＨ」で復帰した。旧ヤンキー・スタジアム最終戦となった昨年９月２１日以来の実戦は、２打数無安打に終わったものの、リハビリを乗り越えて、実戦までたどりついたことに安堵（あんど）の表情を浮かべた。

　大歓声で迎えられ、左打席に向かった。「最初の実戦というのは独特の緊張感、気持ちの盛り上がりがありますね」今年初めて、松井の名前がコールされると、地元ファンからの拍手と声援が降り注いだ。自然とスイッチが入った。

　初回２死二塁で迎えた第１打席。初球から振りにいった。カナダ代表の先発、ダイヤモンドの内角高めの１４５キロの直球に手が出た。つまらされ、浅い中飛に倒れた。２打席目も三飛。試合勘は戻っていない。それでも積極的な姿勢に強い意気込みが感じられた。

　吐く息の白い昨年１２月。リハビリはひたすら走ることから始まった。決してスピードを上げることなく、ただ歩幅を狭く刻んでいくだけの地道なランニングだった。

　「より多く地面に足をつけて、ひざの衝撃を一歩、一歩確かめている。日によって痛みが違うから。良い日は感じがいいし、悪い日は不安になる」痛みを感じなかった日はやれる自信がふくらんだ。しかしキャンプ地に入ると、走ることを規制された。走りたいのに走れない。時には「恐怖」という言葉を使い、患部の悪化を恐れたこともあった。我慢の日々を乗り越え、ようやく迎えた復帰戦だった。

　「開幕まで時間は十分ある。実戦で調整していきたい」。険しい道のりとなるヤ軍４年契約の最終年。前だけを見据え、松井は動き出した。